ホンダ、寄居をEV拠点に 余剰生産能力は削減

 ホンダは4日、国内の四輪車の生産体制を再編すると発表した。寄居工場(埼玉県寄居町)を電気自動車(EV)など新技術を担う世界拠点として構築する。八郷隆弘社長は同日都内で開いた記者会見で「本格化する電動化などに対応し成長するために、日本の製造現場が世界をリードしていく」と述べた。一方、国内の生産能力は2割以上削減することも明らかにした。

■世界の技術者一同に

 ホンダが発表した再編は、現在国内で4カ所ある四輪車の生産拠点を3カ所に集約するもの。ミニバン「ステップワゴン」などを生産する狭山工場(埼玉県狭山市)の生産を2021年度をメドに終了し、寄居工場に集約する。狭山工場の従業員の約4600人は寄居工場などに異動する。

 一方、寄居工場には電動化など新技術に対応した生産技術を構築する拠点を新設する。世界各拠点の人材を集め、生産技術などを共同で開発していく考えだ。日本で生産部門を担当する山根庸史専務取締役は「電動化の波が急速にきている。(世界の各拠点の)エンジニアに企画段階から入ってもらう」と説明した。

 EVなど次世代車の生産のために、世界の技術者の知恵を集める体制だ。  鈴鹿工場(三重県鈴鹿市)では、引き続き軽自動車や小型車を生産。ホンダの子会社で商用車などを生産する八千代工業の四日市工場(三重県四日市市)はホンダが買い取り、少量生産車のノウハウを磨く。

 八郷社長は会見で、「これからの大転換期に対応できるよう、効率の高いグローバル体制の構築を目指す」と強調した。

■生産能力は縮小

 今回の再編は、自動車産業でにわかに加速し始めたEVシフトへの対応という目的の一方で、ホンダが直面する国内の過剰な生産能力の整理という側面もある。

 現在、ホンダの世界の生産能力は年間540万台で、そのうち日本は106万台。16年度には国内で80万台を生産し、10万台規模を輸出した。ホンダは拠点再編の結果、国内の生産能力が81万台まで絞られることを明らかにした。八郷社長は「国内の稼働率はほぼ100%近くになり競争力を維持する」と話した。残業などで、最大90万台規模を生産できる余力を確保するという。

 ホンダは従来、国内で100万台のものづくりの基盤を維持すると掲げてきた。八郷社長は「国内販売が想定していたより伸びなかった。効率良くやるために日本のものづくりをもう一度強化しようと考えた」と説明した。自動車産業をのみ込む大きなうねりが、生産体制の再編を決断させた。(企業報道部 花井悠希)

《追記》
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nikkei.com(2017-10-04)