ホンダ・中国を駆ける 工場新設も需給ひっ迫---
自動化・勤務見直し進む

 【商品戦略が奏功】

 ホンダの中国事業は、合弁会社の広汽ホンダ(広州市)と東風ホンダ(武漢市)による商品戦略が奏功し、急成長を遂げた。新車販売台数は2017年も134万台を計画し、5年連続の過去最高を更新する見込みだ。

 一方で、合弁2社を合わせた基本生産能力は輸出専用車を含めて116万台に留まる。19年には東風ホンダが年産12万台の新工場を稼働する計画だが、足元の設備能力だけでは供給が追いつかない状態だ。ホンダの水野泰秀執行役員中国本部長は「生産のキャパシティー(能力)をうまく使うことが今後のミッションだ」と課題を指摘。そのため合弁2社は、既存工場での自動化や新たな勤務体制の導入を進めるなど、生産の効率化や能力拡充に向けて知恵を絞っている。

 セダン「アコード」や大型スポーツ多目的車(SUV)「アヴァンシア」など5車種を製造する広汽ホンダの第2工場(広州市)。車両のボディーが溶接ラインに流れてくると、16台のアームロボットが一斉に動きだし、決められた場所に正確に溶接を施していく。

 同ラインでの1台当たりの溶接時間は44秒で、1日の加工能力は1050台に上る。溶接工程に占めるロボットによる作業の割合は75%と高い自動化率を誇り、今後さらに比率を高める計画。ただ、工場全体の自動化率は50―60%程度に留まっており、今後は「溶接のほか、塗装工程などでも自動化のための設備投資を進める」(広汽ホンダの小野重雄副総経理)方針だ。

 また、従業員が毎日残業したり土曜日に出勤したりして全体の生産台数を底上げしている。佐藤利彦総経理は「こうした一つひとつの積み上げで、(17年の中国販売台数目標の)134万台における当社の役割を果たしていく」と意気込む。

【土曜日も稼働】

 東風ホンダでも、働き方改革が着々と進んでいる。加藤憲嗣副総経理は「工場の勤務シフトを工夫し、生産を引き上げる」と意欲を示す。

 武漢市内の第2工場では1日の勤務体制を、従来の2グループ2交代制から17年4月に3グループ2交代制にシフトし、週末の操業を実現している。また7月からは、第1工場でも新たな作業体制を導入する。車両組み立てラインを現在の1グループ5人体制から6人体制に増員することで、土曜日も工場を稼働させる。

 これらの取り組みは増産効果に加えて、従業員の負担を抑える狙いもある。「品質確保を最優先する」(藤本敦総経理)ことで、中国でのホンダブランドの底上げにつなげる。

nikkan.co.jp(2017-06-21)