F1オーストラリアGP
ベッテルが逆転勝利! メルセデスは2-3


 26日(日)、2017年F1 FIA世界選手権第1戦オーストラリアGPがメルボルンのアルバートパーク・サーキットで開催され、フェラーリのセバスチャン・ベッテルが開幕戦で勝利を収めた。

 前日に実施された予選でコースレコードとなる1分22秒188をたたき出してポールポジションを獲得したのはメルセデスのルイス・ハミルトン。フロントローに今季最大のライバルになると目されるフェラーリのベッテルを従え、3番手にチームメイトのバルテリ・ボッタス、その隣の4番グリッドにもう一台の跳ね馬を駆るキミ・ライコネンが控える状態でレーススタートに臨んだ。

 土曜フリー走行でクラッシュを喫したウィリアムズのランス・ストロールと予選でタイヤバリアに激突したレッドブルのダニエル・リカルドが共に予定外のギアボックス交換を強いられて5グリッド降格処分を受けており、ストロールは最後尾、リカルドは15番手に後退している。ただ、リカルドはダニーグリッドに向かう途中、コースに停車してしまい、スターティンググリッドには着けていない。

 また、ザウバーはレギュラードライバーのパスカル・ウェーレインが冬季中に負ったケガの影響で十分なトレーニングを積めず、レースを完走できる体調にないとしてグランプリ2日目からフェラーリのリザーブドライバーであるアントニオ・ジョビナッツィにC36のドライブを託した。突然のビッグチャンスを得たジョビナッツィは予選を16番手で終え、初めてのF1レースに挑んでいる。

 全長5.303kmを誇るアルバートパーク・サーキットの一戦は全58周で争われた。雲が多いものの、青空が広がるメルボルンは気温24度、路面温度36度、湿度64%のドライコンディションでスタート時刻を迎える。サイズが大きくなった2017年型マシンで初のレーススタートとあって各陣営とも緊迫感が漂う中、フォース・インディアのニコ・ヒュルケンベルグが停車位置を誤ってしまい、エキストラフォーメーションラップが宣言された。仕切り直しのスタートでは好発進を決めたハミルトンがリードを保ち、ベッテルが2番手をキープ。

 オープニングラップのターン3でハースF1のケビン・マグヌッセンとザウバーのマーカス・エリクソンが交錯し、2台ともグラベルに乗り上げたものの、無事にコースに戻ってレースを続けている。マグヌッセンはパンクチャーを抱えたとのことで緊急ピットインを強いられたが、タイヤ交換をすませて隊列に復帰した。そのタイミングでレッドブルのガレージからリカルドが姿を現す。グランドスタンドの観客から大声援を受けながら、2周遅れの状態でコースに入っている。

 10周目を迎えてマクラーレンがストフェル・バンドールンをピットに呼び入れる。パワーがないと訴えていたのを受け、マクラーレンはタイヤ交換に加えてバンドールンにエンジンの再起動を指示し、コースへと送り出した。

 15周目あたりから多くの陣営がタイヤ交換に動き出し、先頭を走っていたハミルトンは18周目にピットに向かって新品のソフトタイヤに履き替える。ハミルトンは一気にペースを上げて1分27秒台をマークするも、レッドブルのマックス・フェルスタッペンに引っかかってしまい、本来のパフォーマンスを発揮できない。第1スティントを引っ張っていたベッテルにギャップをつけられず、逆にベッテルにアンダーカットを許してしまう状況に追い込まれた。ハミルトンに5周遅れてタイヤ交換を済ませたベッテルはフェルスタッペンとハミルトンの前方でコース復帰を果たし、実質的にレースリーダーの座を奪った。

 他の上位勢が最初で最後のピットストップを終えた時点でベッテルはハミルトンに6秒以上のリードを築いており、周回遅れのマシンに対応しながらハミルトンとのギャップをコントロールすることに集中する。

 また、レース中盤には地元のファンに勇姿を披露していたリカルドがエンジントラブルに見舞われて停車。何とかコースに戻ろうと試みるも、マシンが動き出すことはなくレースを終えている。44周目には前の周回でコースオフを喫してグラベルに乗り上げたウィリアムズのランス・ストロールがピットインした後にガレージにマシンを入れ、50周目に入ってハースF1のケビン・マグヌッセンがストップ、その3周後にはマクラーレンのフェルナンド・アロンソがリタイアし、サバイバルレースと呼ばれることの多いメルボルンの一戦は終盤を迎えて7台目が戦線を離脱した。

 中盤以降、上位勢のポジションが入れ替わることはなく、先頭に躍り出てからレースを優位に運ぶベッテルはハミルトンに接近を許さず、最後は10秒のリードを築いてトップチェッカー。ハミルトンとボッタスのメルセデスコンビが表彰台に上っている。

 4位以下、入賞はライコネン、フェルスタッペン、フェリペ・マッサ(ウィリアムズ)、セルジオ・ペレス(フォース・インディア)、カルロス・サインツ、ダニール・クビアト(共にトロ・ロッソ)、エステバン・オコン(フォース・インディア)だった。オコンは初レースにして初ポイント獲得に成功している。

 他にルノーのニコ・ヒュルケンベルグ、ジョビナッツィ、バンドールンが完走を果たした。

 F1サーカスは2週間後に次の舞台、上海で再び顔を揃える。シーズン第2戦中国GP初日のフリー走行は4月7日(金)日本時間11時にスタートする予定だ。

ja.espnf1.com(2017-03-26)