2050年まで原油余剰継続も 英BP、エネルギー見通し発表

 【ロンドン=黄田和宏】英石油大手BPは25日、長期の市場需給を予測した2017年のエネルギー見通しを発表し、原油市場における供給余剰感が2050年まで続く可能性があると指摘した。電気自動車の普及などで原油需要の伸びが緩やかになるなかで、中東の産油国などは豊富な埋蔵量を抱えており、市場でのシェア争いに再び陥るおそれがあるとみている。

 BPの最新予測によると、35年時点の世界の原油需要は日量1億1000万バレルと、15年時点から約1500万バレル増加する見通し。35年までの累計の原油需要は約7000億バレルに達する。一方、現時点で技術的に採掘可能な原油の埋蔵量は中東や旧ソ連、北米を中心に2兆6000億バレルと、なお生産余力は大きい。50年までの需要の累計でも世界の可採埋蔵量の半分にも満たないという。

 原油の余剰感が根強いなか、BPのチーフエコノミスト、スペンサー・デール氏は「低コストの生産国が競争上の優位を市場シェアを高めるために用いるおそれがある」と説明する。35年時点では石油輸出国機構(OPEC)加盟の中東産油国、ロシア、米国の3陣営で世界シェアの63%を生産するようになるという。これらの生産国の間でシェア争いが過熱すれば、原油価格の上昇を抑制する可能性があるとみている。

 特に、サウジアラビアなどOPEC加盟国の影響力が高まる見通しで、BPは35年までの原油の需要増を賄うため、不足する供給量の7割近くをOPECが生産すると予測。35年時点のOPECの産出量は900万バレル増の日量4800万バレルに達する見通しだ。

nikkei.com(2017-01-26)