中国 一足飛びのEV化も視野に入れるべき

 現行の中国自動車市場を先進国側から見れば、電動化はまだ先で、先進国での進捗をみながら進むだろうと考えられがちだ。だが、すでに中国ではカリフォルニア州で実施されるZEV(ゼロ・エミッション・ヴィークル)規制に相当する、NEV(ニュー・エネルギー・ヴィークル)規制を施行する動きとなっている。この規制に合致するのは、EV、プラグインハイブリッド(PHV)、燃料電池車(FCV)で、その内容はZEVと同じだ。そして2030年には、市場の40%に達する目標が立てられている。

 この動きに歩調を合わせ、中国の比亜迪汽車(BYD)は、ギガファクトリーを建設し、リチウムイオンバッテリーの大量生産に乗り出す。

 EV導入への動きはそのように急転直下で起きており、まさにそれは共産党の指導による統制経済だからこそ一気に先へ進ませることができるのである。

 HVで、まずはその場しのぎをするとしても、一足飛びのEV化を日本の自動車メーカーも意識していかなければ、米国はもちろん中国の市場からも取り残され、もともと市場での勢力を得られていない欧州を含め、日本車が世界に出遅れる事態となりかねない。

 日本の自動車メーカーの中には、「この先まだまだハイブリッド車(HV)やPHVが市場の多くを占め、そこにはエンジンが存在する」との声が根強いが、世界最大の自動車市場の中国と米国が動けば、ほかの市場も動き、そこに消費者の意識転換が加わると、もはやエンジンへの郷愁は吹き飛ぶ可能性もあるのである。

news.mynavi.jp(2017-01-04)