ホンダ、タイ生産能力15万台削減 四輪車の販売低迷で

 【バンコク=小谷洋司】ホンダは東南アジア最大の製造拠点であるタイで、四輪車の生産体制を再編する。タイにある生産ライン3本のうち1本を3月末までに休止させ、同国の年産能力を現在より15万台少ない27万台に削減する。タイ国内の販売低迷などで生産能力がだぶついているため、ラインの休止で生産効率を改善する。

 ホンダはアユタヤ県とプラチンブリ県にそれぞれ車工場を構える。アユタヤ工場には年産能力15万台のラインが2本、プラチンブリ工場には同12万台のラインが1本ある。このうちアユタヤ工場の第1ラインを止める。

 タイの2工場で約5千人いる従業員の雇用は維持する見通しだ。

 多くの車工場は昼夜2シフト制を前提にしている。しかしホンダのタイ生産は16年実績が20万台と能力の半分以下で、3本すべてのラインが1シフトずつしか稼働しない非効率な状態だった。17年の生産計画も22万台と能力と大きな差があるため、再編に踏み切る。

 アユタヤ工場の第1ラインで生産している「ブリオ」など小型車2車種を第2ラインに移す。第2ラインは昼夜2シフトで小型車や多目的スポーツ車(SUV)など8車種を混流生産する体制になる。プラチンブリ工場は生産車種の販売が好調なため、アユタヤの再編と関係なく1月末から2シフトに移行させる。

 タイの新車市場は自動車購入者への大型減税を背景に12年に記録した143万台が最高。しかし減税策終了後は一転して販売が冷え込み、足元では年75万〜80万台の水準で推移している。

nikkei.com(2017-01-13)