トヨタ、2020年めどに電気自動車量産 環境規制強化に対応

 トヨタ自動車は、2020年をめどに電気自動車(EV)の量産に乗り出す。これまで、エコカーの分野ではハイブリッド車(HV)を中心に手がけてきたが、米国や中国で自動車の環境規制が厳しくなる見通しとなり、EV戦略を強化する。

 「エコカーは全方位でしっかりやる、ということだ。米カリフォルニア州の規制が強 化されるのでEVでの対応を加速しなければいけない」。トヨタ幹部は7日、社内に新組織を立ち上げ、EV量産化の具体策を検討すると明らかにした。カローラ級の中型車を念頭に、スポーツ用多目的車(SUV)を含む複数車種の投入を検討する。トヨタのEVをめぐっては、業務提携するマツダの丸本明・副社長が今月、技術や将来の商品補完の対象として「協議を深めている」と明らかにしていた。

 EVは、車に積んだ電池に外部から充電し、その電気でモーターを動かして走る。水素から作った電気で走る燃料電池車(FCV)と同じく、走行時に排ガスを出さない。

 トヨタがEV量産にカジを切るようになった背景には、諸外国での環境規制の強化がある。米カリフォルニア州では、来年後半からEVやFCVの販売が少ないメーカーに特別な負担を求める規制が厳しくなる。年間2500万台が売れる世界最大市場の中国でも、同様の規制が導入される見通しだ。HVやFCVに注力してきたトヨタも「EVがゼロとはいかない」(別の幹部)と軌道修正する。電池は量を確保するため社外からも調達するという。

 競合メーカーは、EV戦略で一歩先を行く。米ゼネラルモーターズは年内に、フル充電で400キロ近く走れるEVを投入する予定。独フォルクスワーゲンも25年までに30車種超のEVを導入する方針で「年間200万〜300万台規模」(ミュラー最高経営責任者)の販売を掲げる。

 ただ、EVは大容量の電池の安全性やコスト、航続距離でHVに劣る。国際エネルギー機関(IEA)によると、普及率は全世界で0・1%ほど。「ビジネスは簡単ではない」と漏らすトヨタ幹部もいる。
 (山本知弘、青山直篤)

asahi.com(2016-11-08)