AIで運転支援、共同開発 ホンダとソフトバンク

 ホンダとソフトバンクは人工知能(AI)を使った自動車の運転支援システムを共同開発する。走行データのほか、表情や声のトーンから感情や嗜好を分析。行動パターンを推測し、運転手が欲しい情報を対話形式で迅速に提供する。車が学習しながら知識を蓄え、人のように会話したり作業を代行したりできる新たな仕組みを目指す。

 対象は通信機能を備えた「コネクテッドカー(つながる車)」で、2030年には約7億台と乗用車の過半数になる見通しとの試算がある。ホンダはソフトバンクの持つ人の感情を学習し、会話する技術などを活用する。ソフトバンクは自動車関連事業の拡大につなげる。車が集める膨大なデータを巡り、自動車と通信の連携が加速する。

 車内に備えたカメラや運転手との対話を通じ、クラウド上のAIがクセなどを学ぶ。方言で会話をしたり、よく通る道沿いのお薦め店を紹介したりすることを想定する。

 例えば、センサーで車の位置や走行距離、速度、ブレーキなどのデータも集め、故障を予測して運転手に代わって販売店の点検を予約する。鍵の閉め忘れを知らせ、離れた場所から施錠するといった機能も付与。助手のような役割を目指す。

 調査会社の富士経済(東京・中央)によると、コネクテッドカーは携帯電話との連携も含め、30年末に世界累計で6億8千万台と14年比6倍に増える見通し。トヨタ自動車はKDDIと組み、20年までに日米の新車に世界共通の通信端末を搭載する。米ゼネラル・モーターズ(GM)は米通信大手のAT&Tと提携し、独フォルクスワーゲン(VW)も韓国LG電子と組み、つながる車のサービスの開発を競う。

 ホンダとソフトバンクはすでに公衆無線LAN「Wi―Fi(ワイファイ)」を生かし、300メートル程度の範囲で情報をやり取りできる通信機器「V2Xユニット」を共同開発して実験を始めている。

《追記》
☆本田技研工業情報 「ソフトバンクとAI(人工知能)分野で共同研究を開始 -AI技術のオープンイノベーションを強化-」ここをクリック

nikkei.com(2016-07-15)