ホンダ、カーシェア拡大へ 東京以外での展開検討


 ホンダは、会員が自動車を共同利用する「カーシェアリング」事業を広げる考えを明らかにした。東京都内での試行を踏まえ、大阪や横浜、神戸といった政令指定都市級の他都市での展開を検討する。車を持たない層がホンダ車に乗る機会をつくることでファンを増やし、新車の販売拡大につなげたい考えだ。

 ホンダは2013年11月から、都内の販売店や月ぎめ駐車場など約40カ所で、ホンダ車計約60台を置くカーシェア「スムーズレンタカー」を実験的に進めており、約4500人の会員がいる。国内営業担当の寺谷公良・日本本部長は「車を持てない都市部の若者などに需要がある」と話し、今後の拡大に期待を示した。

 カーシェアは、店頭での手続きなしでいつでも短時間から利用できる手軽さが受けて広がっている。最大手のタイムズ24は、駐車場を中心に全国約8千カ所に約1万5千台を置く。

  カーシェアの拡大は車の販売には逆風とみられているが、ホンダは都市部で車を持たない人が車に触れる機会と位置づける。販売店の試乗は「『購入が前提』という印象でハードルが高い」(ホンダ販売会社関係者)といい、気軽にホンダ車を体験してもらう考えだ。

 小型車「フィットハイブリッド」や軽自動車「Nシリーズ」など、カーシェア向けに配備する車は、いずれも装備が充実した上級モデルを用意。利用時間は12時間から最長14日間と長めに設定している。

 国内の自動車メーカーでは、トヨタ自動車がレンタカー拠点などでカーシェアを展開。日産自動車もマンションなどで電気自動車「リーフ」を共有するサービスを提供している。(榊原謙)

asahi.com(2016-06-22)