ホンダ、追加リコール2000万個超す エアバッグ部品

 ホンダはタカタ製エアバッグの不具合問題で、世界で2千万個以上のエアバッグ部品を追加リコール(回収・無償修理)する。当局が火薬の劣化を防ぐ乾燥剤がない全てのエアバッグのリコールを求めた米国だけでなく、日本や中国、欧州など世界中で順次、リコールを届け出る方針だ。タカタの最大取引先のホンダが事故のない地域でも大規模リコールに踏み切ることで、他の自動車メーカーに同じ動きが広がる可能性がある。

 タカタ製エアバッグは作動時、異常破裂する不具合が起きている。最初のリコールは2008年で、事故のたびに自動車メーカーが同じ部品の追加リコールを繰り返してきた。だが、米運輸当局は今月4日、タカタが使う火薬について、高温多湿下に6〜25年間置いた場合、湿気で火薬の爆発力が高まる恐れを指摘。米国で乾燥剤がないエアバッグ部品すべてのリコールを求めた。

 ホンダは5月下旬までに車両を特定し、米国でリコールを届け出る。北米だけでなく日本、中国、アジア・大洋州、南米、欧州でも古いモデルから順次、タカタ製エアバッグ部品の追加リコールを申請する方針だ。高温多湿地域が少ない欧州では事故が起きていないが、予防的な措置を講じて当面のリコール範囲にめどをつける。

 助手席を中心に、追加対象となる部品は世界で2千万個以上になる。これまでのリコール対象も含めると、一連の問題で累計5千万個を超える見通しだ。新たに発生するリコール費用は2千億円規模になるもようだ。

 マツダは既に16年3月期の連結決算で、乾燥剤が入っていないタイプのほぼ全量を対象に407億円の損失を計上した。

 米国以外の当局はまだ追加リコールの必要性について方針を示していない。トヨタ自動車や日産自動車など日本勢や米ゼネラル・モーターズ(GM)など海外の自動車各社も世界で追随すれば、世界でのタカタ製エアバッグ部品のリコールは累計で1億個を大幅に超える。

 ホンダやトヨタ自動車、日産自動車、マツダなど日系メーカー7社は3月時点で、世界全体ですでに計6千万個弱のタカタ製エアバッグのリコールをしている。最も多いホンダは1社で全体の約半分を占め、今回の追加リコールでさらに膨らむが、回収範囲に当面の区切りがつく。

nikkei.com(2016-05-08)