未来の高齢者の“足” 1人乗り「移動支援ロボ」開発加速
 ホンダ、トヨタ  ベンチャーや中国勢も攻勢

 トヨタ自動車やホンダなど大手企業が、手軽に移動できる1人乗りの「搭乗型移動支援ロボット(パーソナルモビリティー)」の開発を急いでいる。高齢化や地球温暖化への対策として、将来の新たな“足”となる市場開拓を図る狙いだ。ベンチャーや中国勢も普及に乗り出しており、未来の乗り物への期待は大きい。

 「かわいい。乗ってみたい」。ランドマークタワー(横浜市西区)を巡るホンダのパーソナルモビリティー「ユニカブ」の行列に、買い物客らが足を止めた。横浜市が今月、開いた体験会では、ホンダやトヨタがパーソナルモビリティーの試乗会を実施。参加した男性(58)は「安心して乗れた」と声を弾ませた。

 ホンダのユニカブは、大口径のタイヤで動くいす状の“電動一輪車”だ。センサーで体重移動を検知し、前にかがめば前進、横を向けば方向転換ができる。最高時速は6キロと早歩き程度だが、人型ロボット「アシモ」で培ったバランス制御技術で転倒を防ぎ「約10分の練習でほぼ乗れるようになる」(指導員)という。

 同様にトヨタが開発した「ウィングレット」は、2つの車輪がついた台座とバー状のハンドルなどからなり、運転者が立ち乗りする仕組み。高齢者の移動を助けるロボット事業の一環として実証実験を進める。玉置章文パートナーロボット部長は「長距離の移動は自動車で、近所の買い物などはウィングレットで、と使いわけられる」という。

 ただ、現行法では公道の走行に制約がある。政府は平成27年、道路運送車両法の保安基準などを一部改正し、公道での実証実験を全国で可能にする特例措置を公布し、実用化を後押ししている。パーソナルモビリティーの先駆けの米セグウェイを中国の電動二輪車メーカー、ナインボット社が昨年、買収するなど中国勢も市場開拓を急ぐ構えだ。

sankei.com(2016-02-20)