燃料電池車「30年までに80万台」 政府、普及へ数値目標


 水素を使って走り、「次世代エコカー」として期待されている燃料電池車(FCV)について、政府は16日、2030年までに国内で累計80万台普及させる目標を決めた。水素を補給する「水素ステーション」も25年までに現在の4倍の320カ所程度に増やす。数値目標を示すことで、普及に弾みをつける狙いだ。

 FCVを製造する自動車メーカーや水素を供給するエネルギー業界、学識者らでつくる経済産業省の協議会がまとめた。目標では、2月末時点で累計500台程度の普及にとどまっているFCVについて、20年までに約4万台、25年までに約20万台、30年までに約80万台に増やす。3月末時点で約80カ所にとどまる見込みの水素ステーションも、20年度までに2倍の約160カ所、25年度には4倍の約320カ所まで広げる。

 1台700万円を超す高価格が、FCV普及のネックになっている。経産省は、高価な素材の使用量を減らしたり、部品を共通化したりして、20年までに燃料電池のコストを半減、25年までには4分の1まで下げられると想定。車体価格を200万円台に抑えて大量販売が期待できるモデルの投入も見込む。

 整備費や運営費が割高な水素ステーションについても、運転手が自分で補給する「セルフ式」を実現するなどの規制緩和を進め、国の補助金がなくても黒字運営できる環境を整える。

 トヨタ自動車は、世界で初めて市販したFCV「ミライ」を、2020年をめどに世界で年3万台以上売る目標を掲げる。ホンダも今月10日、新型FCV「クラリティ フューエル セル」を売り出した。(高木真也)

asahi.com(2016-03-17)