ホンダ・GM提携拡大、最終調整…エコカー PHV共同開発

 ホンダと米ゼネラル・モーターズ(GM)が環境対応車(エコカー)の開発で包括提携する方向で最終調整に入ったことが分かった。

 両社は現在、燃料電池車(FCV)に限って共同開発しているが、対象を次世代エコカーの主流になるとされるプラグインハイブリッド車(PHV)にも広げる。部品も共同で調達することにより、単独で行うより販売価格を抑えられるとみている。トヨタ自動車などとのエコカー開発の覇権争いが一段と激しくなりそうだ。

 PHVはエンジンとモーターを搭載し、50キロ・メートル程度をモーターだけで走り、電池が切れそうになるとエンジンに切り替わる。バッテリーは家庭の電源で充電できる。ハイブリッド車(HV)もエンジンとモーターを併用するものの、モーターを使うのは低速時などに限られ、モーターだけで長距離を走ることを想定していない。

 PHVは電気自動車(EV)に比べて走行距離が長く、HVと比べて二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない長所がある。2017年以降、主要市場の米国で環境規制が厳しくなるため、各社はPHVの開発に力を入れている。

 ホンダとGMはPHVを駆動させるシステムの開発や電池などの部品の共同調達を検討している。両社は開発期間を短縮できるうえ、調達量が増えて部品会社に対する価格交渉力が増すメリットがあるとみている。共同開発にとどまらず、PHVとFCVの共同生産も視野に入れている。

 ホンダは元々、18年に米国でPHVを単独で発売する予定だった。これに、PHVで先行するGMの開発ノウハウを取り入れたい考えだ。GMもホンダとの提携で、トヨタなどとの競争を有利に進めたい思惑があるとみられる。ホンダとGMは自動運転の技術開発でも提携を検討する。

 環境技術の開発には多くの費用がかかる。このため、トヨタ自動車がマツダとエコカーの開発で提携するなど他社との連携を通じて負担を軽減する例が増えている。ホンダとGMが提携を拡大することで、こうした動きが加速しそうだ。

 エコカー開発では排ガスを出さないEVとFCVの二つが大きな潮流になっているが、走行距離や価格などの課題もあり、普及が進んでいない。

 そこで、EVやFCVへの「つなぎ」として期待されているのがPHVだ。

 日本ではHVがエコカーとして普及している。人口が4000万人近い米カリフォルニア州などは販売台数が多い大手自動車メーカーに対し、一定割合のエコカーを販売するよう義務づけているが、17年以降、規制が厳しくなり、対象の「エコカー」にHVが含まれなくなる。各社がPHVに力を入れるのはそのためだ。

 米国の環境規制は過去にも世界をリードしてきた。同様の規制が中国や欧州に広がる可能性は高い。国際エネルギー機関(IEA)は世界の新車販売台数に占めるPHVの割合について、20年の5%が50年には35%に増え、最も売れる車種になると予測している。

The Yomiuri Shimbun(2016-01-05)