社会人野球:勝敗分けた一瞬の判断 ホンダ・山崎

 ○ホンダ1-0大阪ガス●(日本選手権準決勝、8日・京セラドーム大阪)

 一瞬の判断が、勝敗を分けた。十一回1死二塁でホンダ・小手川の詰まったゴロは投手と三塁手の間に転がった。「行ける」と判断した二塁走者の山崎は果敢に三塁へ。打球を処理した三塁・加嶋はカバーに入ろうとした投手・小畑に送球するが、球は左にそれてファウルグラウンドを転々と。その間に山崎は一気にホームを陥れ、サヨナラ勝ちを呼び込んだ。

 「本塁でセーフになるか自信はなかったが、こういう(1点を争う)試合展開なので勝負した」と山崎。一方の小畑は「捕れた球だった。一瞬走者を見てしまい、そらした」と残念がる。「練習はしているが、あの場面で想定しなかった」。不意をつかれた格好だ。

 ホンダは今夏の都市対抗2回戦で王子に零封負けして以降、バントや走塁などを重点的に練習してきた。「いかに得点圏に進めるかを考えた。何が起こるか分からないですから」と長谷川監督。この試合でも、先頭打者が4度出塁し、いずれも送りバントを決めた。十一回も先頭の山崎が中前打で出ると、次の井上が初球で一塁線へ送りバントを決めて作ったサヨナラ機だった。

 都市対抗2回、日本選手権も1回の優勝経験を持つホンダ。延長戦という厳しい試合展開でも貪欲に次の塁を狙う積極的な姿勢で、その勝負強さを示してみせた。【黒尾透】

毎日新聞(2015-11-09)