ホンダ、量産型の燃料電池車を披露へ 東京モーターショー

 自動車各社は30日、10月末の東京モーターショーの出展概要を発表した。ホンダは量産タイプの燃料電池車(FCV)「新型FCV(仮称)」を世界で初めて披露する。スズキは市販予定の小型クロスオーバー車などを展示する。マツダはスポーツ車のコンセプトモデルを世界初公開する。環境性能を高めた次世代エコカー、走る楽しさを強調したスポーツ車などで、クルマへの関心をより高めてもらう狙いだ。

 新型FCV(仮称)はトヨタ自動車の「ミライ」に続く量産型FCVで、走行可能距離は700キロメートル以上、3分程度の短い時間で水素を充填できる。

 最大の特長はミライを上回る乗車定員5人という車内空間の広さだ。燃料電池や発電システムといった駆動機構を小型化し、ボンネット下に収納することで、広いスペースを確保した。正式名称は東京モーターショーで発表する予定。2016年3月、日本での発売を予定している。

 「新型NSX」はアルミニウムや炭素繊維を用いて軽くした車体に、3つのモーターで構成する新型ハイブリッドシステムを搭載する。前輪を左右独立した2つのモーターで制御することで運転しやすくした。16年春以降、北米などで発売する予定。

 「シビックタイプR」はエンジンにターボチャージャー(過給器)を組み合わせることで、最高出力を310馬力に引き上げた。歴代のタイプRモデルの中で最も高い性能を持つ。すでに欧州で今夏から発売されており、10月28日から日本でも発売する。

 二輪車と四輪車の技術者が共同開発したコンセプト四輪車「ホンダ プロジェクト2&4」も公開する。二輪車レースの最高峰、モトGPを二連覇した「RC213V」のエンジンを搭載した。二輪車を手掛ける同社の独自性を打ち出した。

 二輪車ではホンダの原点といえる小型二輪車「スーパーカブ」をベースとした電動二輪車「EV―カブ」や、走行可能距離がより長い低燃費エンジンを搭載した次世代スーパーカブなどのコンセプトモデルを公開する。

 自動運転やコネクテッドカーの分野でもコンセプトモデルを2種類披露する。「ホンダワンダースタンド」は特殊なタイヤ機構を用い、前後左右斜めと動ける。自動運転モードも備える。

 「ホンダワンダーウオーカー」は小回りがきき、歩行者などにまじっての走行が想定されている。無線通信システムを搭載し、利用者の走行状態を家族に伝える機能なども備える。

 マツダはスポーツ車のコンセプトモデルを世界初公開するほか、現在同社の主力となっている多目的スポーツ車(SUV)の新コンセプトモデル「マツダ越KOERU」を日本初公開する。1967年に発売した「コスモスポーツ」など往年の名車も含め計14台を出展する。

 スポーツ車のコンセプトモデルの詳細は明らかにしていないが「マツダのスポーツカーの歴史を凝縮させたようなスタイリング」としている。5月に発売したスポーツ車「ロードスター」のレース仕様車も展示する。

 スズキは市販予定の小型クロスオーバー車「イグニス」を初公開する。小さな車体で街中で走りやすいだけでなく、雪道や荒れた道などでの走行性能を高めている。エンジン排気量は1.2リットルで、ハイブリッド車(HV)も設定した。10月15日に発表する予定のSUV「エスクード」の新型も展示する。

 コンセプト車では駐車時にシートを自由にアレンジしたり、大画面モニターでスマートフォン(スマホ)の内容を楽しめたりする3列シートミニバンの「エアトライサー」を披露する。軽自動車では車体後部の荷台が自動で可動する「マイティデッキ」、二輪車では収納スペースを増やし利便性を高めた原付きスクーター「ハスラースクート」などを展示する。

《追記》
☆本田技研工業情報「第44回東京モーターショー2015」Hondaブース出展概要について?「The Power of Dreams」をコンセプトに独創的なモビリティを出展? ここをクリック

nikkei.com(2015-09-30)