車のハッキングに現実味 遠隔操作でエンジン停止も

 インターネットにつながる自動車が、ハッカーの攻撃で遠隔操作される恐れが現実味を増してきた。走行中の車を遠隔操作で「乗っ取る」実験がネット上で公開された直後、米国では自動車大手が大規模リコール(回収・無償修理)に踏み切った。ネットに「つながる車」の安全性が、大きな課題となっている。

■乗っ取り実験公開、対象車リコール

 「いったい、どうなっているんだ」――。米国の高速道路を走る車で、運転手が何もしないのに突然ラジオが大音量で流れ、ワイパーが作動した。エアコンの電源も入り、エンジンが切られて車は急に減速。運転手はハッキングの実験だとわかりつつも、パニックに陥った。

 ITなどの米専門誌ワイアードが、情報セキュリティーの専門家である米国の著名ハッカー2人に頼んだ実験が7月、ネット上で公開されて話題を呼んだ。車から数キロ離れた場所にいたハッカーは、手元のノートパソコンから車の制御システムに入り、遠隔操作した。

 携帯電話回線で通信するカーナビ・オーディオ機器を通じ、同じネットワークを使う制御システムへも、外部から侵入できてしまった。車の「走る・曲がる・止まる」の大部分は、車のメーカーが設定したプログラムで電子制御されている。同誌は、車に対するハッカー攻撃の危険性を周知するために記事を特集したという。

nikkei.com(2015-04-23)