高齢化で縮むゴルフ市場、若年層取り込みに知恵

 会員権相場下落の背景にあるのは、ゴルファーの高齢化だ。日本生産性本部(東京・渋谷)のレジャー白書によると、1992年に1480万人だったゴルフコース参加人口は2014年には半数以下の720万人に落ち込んだ。退職した団塊の世代が徐々にゴルフをやめる一方、若年層からの“新規参入”が減っているためだ。総務省統計を基に日本経済新聞社が算出したところ、ゴルファー全体に占める50歳以上の割合は48%に達した。

 2015年問題──。ゴルフ業界は以前から、今年は市場全体が大きな節目を迎えることになると身構えてきた。団塊の世代が全員65歳以上になり、体力や金銭の面でプレーを続けられなくなる人が増えると見られていたためだ。その懸念は現実化している。

 鹿沼カントリー倶楽部(栃木県鹿沼市)は1年間で全会員の約4%にあたる250人前後が退会した。ほとんどが「体調がすぐれない」など高齢を原因に挙げるという。運営会社の鹿沼グループ(同)の福島範治社長は「会員の減少で年会費収入が減り、経営に響いている」とため息をつく。

 苦境にあるのはゴルフ場だけではない。レジャー白書によると、14年のゴルフ用品の売り上げ規模は3330億円でピークの91年に比べてほぼ半分に減った。ゴルフ練習場も93年に比べて6割減少。バブル期には「3時間待ち」というケースもあったが、現在は行列ができる練習場は少数派だ。

 かつては幅広い世代に愛好されていたゴルフ。市場の縮小に歯止めをかけるため、ここにきて若年層を取り込もうとする試みも広がっている。

 リクルートライフスタイルが全国の20歳代の男女5千人を対象にアンケート調査したところ、3割が「ゴルフ経験はないが、やってみたい」と回答した。そこで同社は14年8月から全国のゴルフ場・練習場と提携し、20歳の男女に限り料金を何回でも無料にするキャンペーンを始めた。15年3月までの第1弾では全国で延べ1万7800万人が利用し、5月には第2弾も始まった。

 ゴルフ場も知恵を絞る。鹿島の杜カントリー倶楽部(茨城県鹿嶋市)は30歳代以下を対象に入会金などの割引を始めた。京葉カントリー倶楽部(千葉市)も名義変更料を年代別に3つに分けた。45歳以下は80万円と、56歳以上の120万円の3分の2に抑えた。

(福島悠太、飛田雅則、下村恭輝)

                  [日経ヴェリタス2015年8月16日付]

nikkei.com(2015-08-16)