車部品メーカー、埼玉県内の工場を相次ぎ統廃合

 自動車部品メーカーが埼玉県内の工場の統廃合に乗り出す。プレス部品のエイチワンは2016年3月に戸田市にある工場の閉鎖を決め、岐阜県に本社を置く丸順も埼玉県内での生産から段階的に撤退する。国内新車販売は昨春の消費増税以降、低迷が続いているうえ、将来も大きな成長は見込めない。部品メーカーは生産体制の集約を通じ、収益力を高める考えだ。

 エイチワンは車体の骨格部品を生産する戸田工場(戸田市)を16年3月末に閉鎖する。生産設備や従業員約70人は前橋製作所(前橋市)などに移管する。生産拠点の統廃合により、生産効率を高めるとともに物流費を削減する。戸田工場の敷地(約3500平方メートル)は売却も含め対応を検討する。

 プレス部品メーカーの丸順は埼玉工場(鶴ケ島市)の生産体制を段階的に縮小し、将来は閉鎖する方針だ。従業員約50人も他工場に順次異動する。

 同社の15年3月期の連結最終損益は33億円の赤字(前の期は9億円の黒字)だった。埼玉工場は同社唯一の東日本の生産拠点だったが、今後は本拠の中部地区に経営資源を集約して収益を改善する。

 ゴム部品メーカーの山下ゴム(埼玉県ふじみ野市、臼井武吉社長)は埼玉工場(上里町)の閉鎖も視野に生産体制の見直しに着手した。同社は人件費などコストを削減するため、開発機能などを新興国に移管し始めている。生産体制についても「今後検討を進める」としている。

 国内新車販売は昨年4月の消費増税の影響が長引き、回復が遅れている。埼玉県自動車販売店協会の調べでは、14年度の県内新車登録台数(軽自動車を除く)も前年度比8.4%減と落ち込んだ。

 新車販売の低迷を背景に、県内の自動車関連メーカーは苦戦している。帝国データバンク大宮支店のまとめによると、県内の自動車関連の上場企業の多くで15年3月期の連結決算が経常減益だった。このため、生産や物流の効率化による収益基盤の強化が急務になっている。

nikkei.com(2015-06-11)