ホンダ国内生産90万台に 15年度伸び悩み、鈴鹿の稼働縮小

 ホンダは2015年度に鈴鹿工場(三重県鈴鹿市)の生産台数を今年度よりも約2割減らす。2本の生産ラインのうち、主力小型車「フィット」などを製造するラインの稼働を6カ月間半減する。15年度の国内の四輪車生産は90万台弱と、14年度(85万台強)から伸び悩む。リコール(回収・無償修理)問題もあり、国内販売の回復には時間がかかると判断した。

 鈴鹿工場は昼夜で従業員が交代する2直制を採っている。4月から10月まではフィットやスポーツ車「CR―Z」などの製造ラインで昼勤だけの1直制にする。

 14年度は当初、13年度を12%上回る105万台程度と強気の生産計画を立てていた。だが需要低迷やフィットで相次いだリコールに伴う新型車の投入見合わせなどが響き、最終的には85万台強まで下振れする見通し。

 15年度は埼玉県内の2工場で生産を増やすが、鈴鹿工場での減産が響き、90万台弱と小幅な増加にとどまる。

 ホンダは年100万台強の国内生産能力(休日出勤分など除く)を持つ。14年度はミニバンなどを作る狭山工場(埼玉県狭山市)で金曜日の操業の一時見合わせなどで生産を減らし、在庫削減を進めてきた。15年度の操業も生産能力を1割以上、下回ることになる。

 ホンダはフィットの品質問題を受け、昨年末まで新型車の投入を見合わせていた。セダンタイプの小型ハイブリッド車(HV)「グレイス」を昨年12月に発売し、15年度にかけてもミニバン「ステップワゴン」の全面改良や新型軽スポーツ車「S660」の発売を控えるが、国内販売の先行きには依然として慎重姿勢を崩していない。

 市場全体でも新車販売は振るわない。トヨタ自動車は15年暦年の単体(トヨタ・レクサス合計)の国内生産を前年比4%減の313万台と計画し、日産自動車の15年度の国内生産も小幅な伸びにとどまる見込みだ。

nikkei.com(2015-02-03)