ホンダ、米当局に制裁金84億円支払い 過去最高額

 【ニューヨーク=杉本貴司】ホンダは8日、米国で事故情報などに関する法定の当局報告を10年以上も怠っていた問題で、米運輸省・高速道路交通安全局(NHTSA)と民事制裁金7000万ドル(約84億円)を支払うことで合意した。NHTSAが1社に科す制裁金としては過去最高額。ホンダは再発防止に向け、人員配置の変更や監視体制を強化する。

 米国ではリコール(回収・無償修理)につながりかねない車両の欠陥を早期に発見するため、「トレッド法」が2000年に成立。事故などの情報が届いた場合、定期的にNHTSAに知らせる「早期警戒報告」をメーカーに義務付けた。

 ホンダは、03年からNHTSAに事態を指摘される14年秋までの間、報告を怠っていたことが判明した。報告漏れの件数は1729件で、当局に報告すべき件数の6割が未報告だった。

 NHTSAによる民事制裁金は3500万ドルが上限だが、今回は事故の報告漏れと損害補償に関する報告漏れについて、それぞれ別途で制裁金を科した。米ゼネラル・モーターズ(GM)による欠陥放置問題などもあり、14年のNHTSAによる制裁金は1億2600万ドルと過去最高となった。このうちホンダが過半を占める。

 ホンダは、データ処理のミスや入力漏れ、法律の誤解などが報告漏れの原因だと説明している。調査の結果、社員が11年にこうした問題を認識していたことが判明。12年初めにNHTSAが警告したが、ホンダが調査を始めたのは14年9月になり、事後対応の遅れでも批判を浴びた。

 北米ホンダのリック・ショステック上級副社長は8日「今後もNHTSAに全面協力し、透明性の向上と報告義務の強化を図る」との声明を出した。

《追記》
☆本田技研工業情報 「アメリカンホンダ公式コメント:早期警告レポートに関するNHTSA調査への対応について」ここをクリック

nikkei com(2015-01-09)