用具係からコーチへ…入来、感極まって涙

 今季までDeNAの用具担当を務めた元巨人の入来祐作氏がソフトバンクの三軍投手コーチに就任し、指導者としての第一歩を踏み出す。

 栄光と挫折、表舞台と裏方を経験してきた42歳は、山あり谷ありの野球人生を伝えながら若手を育て、誘ってくれた工藤新監督に恩返しする決意だ。

 ヤフオクドームで12日に行われた就任記者会見。打撃投手、用具担当として過ごした引退後の6年間に話が及ぶと、感極まって涙をこぼした。「裏方も一生懸命、役に立ちたいという思いでやっている。そんな人たちの思いもくみ取れる選手が出てくれればいい」

 宮崎県都城市出身で、社会人の本田技研(現ホンダ)からドラフト1位で1997年に巨人入団。2001年には13勝(4敗)を挙げ、02年の優勝にも貢献した。だが、日本ハムを経て06年から2年間挑戦した米球界では、メジャーでの登板は果たせず、08年の横浜(現DeNA)を最後に現役を退いた。

 用具担当として練習環境を整える仕事に徹し、指導者の夢を諦めかけていた今年11月。DeNAの秋季キャンプ地、鹿児島・奄美大島で携帯電話が鳴った。プロ入り前から憧れ、巨人と横浜時代はチームメートとして慕った工藤新監督からだった。「一緒にやらないか」と言われ、「頭(の中)が真っ白になり、言葉にならなかった」。

 担当する三軍は育成選手らが中心となる。「泥だらけになって、選手と一緒に喜んだり、悔しがったりできるコーチになりたい」。気迫を前面に出した現役時代のように、指導に情熱を注ぐつもりだ。
(船山徹)

yomiuri.co.jp(2014-12-15)