技術開発本格化 成長投資へ転じた自動車産業

 日本の自動車産業が将来に向けた投資に動いています。全上場企業の2014年度研究開発投資を比べると、前期比増加額の首位はトヨタ自動車で、14年度は過去最高の9600億円を計画しています。設備投資も1兆200億円と、リーマン・ショック後の最高額を更新します。

 具体的には、新型車の製造工程で他車種と部品を共通化する仕組みを導入すると同時に、歩行者や車の動きを把握する安全運転支援システムや、燃料電池などの技術開発を本格化しています。その負担もあり、会社側は14年度業績を横ばいと見込みますが、豊田章男社長は「意思のある踊り場」と位置づけ、市場では上方修正期待も高まっています。

 14年度は、ホンダ、スズキ、富士重工業も過去最高の研究開発投資を計画しており、センサーやタッチパネルなど新たな自動車部品市場が拡大しつつあります。自動車のフロントガラスに計器やカーナビを表示するヘッドアップディスプレーも、新市場として注目されます。世界トップシェアを握る日本精機は、14年度の設備投資を前期比で5割引き上げ、増産を急ぎ進めています。(「会社四季報プロ500」編集部)

digital.asahi.com(2014-08-09)