パソコン画面で突然「警告」 ソフト誤購入トラブル増加

 「あなたのパソコンが脅威にさらされています」。パソコン操作中に突然現れた警告表示につられ、セキュリティー対策をうたったソフトを誤購入してしまうトラブルが相次いでいる。国民生活センターによると「効果が感じられない」「解約したい」などの相談は、2013年度は12年度の4倍超。同センターは「むやみにクリックしないで」と呼び掛けている。

 兵庫県に住む40代の男性は、パソコン画面に突然表示されたセキュリティー対策が甘いとの内容の警告に驚いた。対策ソフトの購入を促す表示を思わずクリック。2000円を支払った。「これで安心だ」。ところが、翌日パソコンを立ち上げると再び同じ警告が表示された。不審に思った男性は今年3月、消費生活センターに「解約したい」と相談を寄せた。

 このほか、ユーザーの信頼性を高めるためか、無断で使われたとみられる大手パソコンソフトの会社のロゴと一緒に警告が表示されたケースもあった。購入後に解約しようと連絡先に電話をすると、英語のみの対応で話が通じなかったケースも報告されている。

 国民生活センターによると、13年度の相談件数は1615件で12年度の4倍以上。今年4月以降も7月下旬までに約320件寄せられており、昨年同時期の2倍近い。ソフト購入額の平均は約6000円。

 同センターの担当者は「消費者の不安をあおって購入手続きの画面に誘導している」とみており、「すべてとはいえないが、効果ははっきりしない」(同)と指摘する。

 こうした表示は、単なる広告のほか、危険なウェブサイトをユーザーが閲覧して不正なプログラムを知らずに埋め込まれていることが原因の可能性もあるという。

 国民生活センターでは対応策として、独立行政法人の情報処理推進機構(IPA)の相談窓口のホームページで、パソコン内のソフトが最新の状態か確認し、必要に応じて更新するよう推奨。トラブルに巻き込まれた際は、「契約先が外国の事業者であっても対応可能なので、ためらわずに問い合わせてほしい」としている。

nikkei.com(2014-07-29)