パスワード覚えきれないあなたに 一括管理ソフトが人気

 フェイスブックやツイッターなど複数の交流サイト(SNS)を使い分ける人の悩みのタネが、複数のIDやパスワード(PW)の管理だ。PWなどを悪用した不正ログインがLINE(ライン)で急増したこともあり、これらを一括管理できるソフトの人気が高まっている。

 東京・秋葉原のヨドバシカメラ。携帯やパソコンの売り場のすぐそばに、PW管理ソフトが並ぶ。「ネットバンキングで、不正ログインが相次いだ昨年から売り上げが伸びている。最近はスマートフォン用に買う人が多い」と売り場担当者。4年前にソースネクストが発売した「マカセルパスワード管理」は昨年も前年の2倍を売り上げるなど、じわじわと浸透している。

 ネットを通じたサービスの利用者は、IDやPWをサービスごとに変えることを推奨される。しかし、情報セキュリティー大手トレンドマイクロが調査したところ、利用者の約93%が複数のサービスで同じPWを使っていた。複数のPWを覚えるのが難しいからだ。

 そこで、同社が売り出したのが、管理ソフトの「パスワードマネージャー」。様々なサービスのIDとPWを一度記憶させれば、各サービスに接続するたびに自動で入力してくれる。パソコンだけでなくスマートフォンやタブレット端末にも対応しており、6月には国内利用者(無償版も含む)が11万人を突破した。

 PW管理ソフトは、ネット上で無償で手に入るものも少なくない。だが、中にはPWを盗む目的の悪質なソフトも潜む。セキュリティー大手カスペルスキーの前田典彦・主任研究員は「信用できる提供元を選んだほうがいい」と話す。

 パソコンではなく、複数のPWを手帳などに書き込んでいる人は多い。ただ、紛失すると、すべてのPWが悪用されるという難点もある。

 こうした悩みに答えるのが、文具大手キングジムのカード型電子端末「ミルパス」だ。情報を見るにはPWが必要なので、紛失しても他人が見ることはできない。12年の発売以来、累計3万台を売り上げている。(藤田知也)

asahi.com(2014-07-28)