自動車4社、EV普及へ新会社 共同で充電設備

 トヨタ自動車、日産自動車、三菱自動車、ホンダの4社は電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の普及に向け、共同出資で充電インフラ整備の新会社を設立する。充電器設置の費用を一部負担するほか、課金や決済サービスも提供し様々な事業者が設置しやすくする。新会社を通じ、国内のインフラ整備を加速する。

 共同出資会社は来月末にも設立し、出資比率は均等になる見通し。競合する自動車大手が共同で会社を立ち上げるのは珍しい。将来は燃料電池車(FCV)用のインフラ整備も視野に入れる。

 急速充電器と普通充電器があり、3月末の国内設置台数はそれぞれ約2千台と約4千台。4社は昨年7月に充電インフラ普及で連携し急速充電器4千台、普通充電器8千台の新設を掲げる。新会社は年内の新設を目指すほか、中期的に設置目標を上方修正するとみられる。

 設置費用は急速充電器で最大500万円以上かかり、新設目標の達成には単純計算で300億円程度が必要になる。充電器については設置費用の最大3分の2を政府が補助する制度がある。新会社は残りの設置費用のうち相当部分を4社で分担。ガソリンスタンドやコンビニエンスストアなどの設置者は国の補助金と合わせれば負担がゼロになる可能性もある。

 新会社は充電の課金や決済システムも提供、1枚のカードで全国どの充電器でも充電と決済ができるサービスを目指す。

 現状では充電料金は1回ごと500〜1000円程度で、設置事業者が独自に設定。決済は店頭での現金払いやクレジットカードなど様々だ。今後も料金設定は設置者に委ねるが、課金と決済の仕組みを用意することで、個人事業者も充電サービスを手掛けやすくなる。急速充電器を使えば30分程度でEVを約8割充電でき、設置が増えれば利用者が遠出しやすい環境が整う。

 EVやPHVは日産の「リーフ」やトヨタの「プリウスPHV」など日本勢が先行する。だが最も多いリーフでも2月までの国内累計販売は3万7千台と想定を下回る。独フォルクスワーゲン(VW)や独BMWなど海外勢も新車で攻勢をかけており、4社で国内市場を活性化する。将来は他の自動車メーカーや電力会社などの出資を募る可能性もある。

nikkei.com(2014-04-12)