3環状道路整備にめど 五輪で変わる東京

 五輪開催の決定が追い風となって、首都圏の道路交通の骨格となる3環状道路の整備が加速しそうだ。


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 都心から半径約8kmの首都高速道路の中央環状線と半径約15kmの東京外かく環状道路(外環道)、半径約40〜60kmの首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の3環状は、1964年に「3環状9放射」の道路ネットワークとして計画された。

 東名高速道路や中央自動車道など放射方向の高速道路が早々と完成したのに比べ、環状方向の道路は整備が遅れている。海外主要都市の環状道路は、整備率でロンドンが100%、パリが85%。これに対し、東京の3環状は2012年度末時点で59%にとどまっている。

■まず14年度に中央環状線が全通

 3環状で最初に完成するのは2014年度に全通予定の中央環状線。東京都と首都高速道路会社が共同で事業を進める品川線の延長9.4kmが2014年度末に開通し、約47kmの環状道路がつながる見込みだ。

 品川線は、首都高の3号渋谷線・大橋ジャンクション(JCT)と湾岸線・大井JCTを地下トンネルで結ぶ。トンネル部分の延長は約8.4kmで、接続する新宿線の山手トンネルを合わせると約18km。開通すれば、関越自動車道の関越トンネル(約11km)を超えて、日本最長の道路トンネルが誕生する。

 他方、外環道は、15年度に東側の三郷南JCT―高谷JCT間の15.6kmが開通することで、大泉JCT─高谷JCT間がつながる。圏央道も、15年度までに大部分の区間が開通する見込みだ。

 3環状で、国土交通省が2013年秋の時点で開通予定時期を公表していないのは、外環道の東名高速以南を除くと2区間だけになる。外環道の大泉JCT―東名JCT間の16.2kmと、圏央道の大栄JCT―松尾横芝インターチェンジ(IC)間の18.5kmだ。

 同省関東地方整備局道路部計画調整課の五十嵐一夫課長補佐は、「現時点でいつ完成するのかは明示できない。五輪開催が決まったので、それまでに間に合うのか、検討が必要だ」と説明する。

 東京都が国際オリンピック委員会(IOC)に提出した立候補ファイルでは、2020年の五輪開催までに3環状の整備率を9割に引き上げるとしている。これら2区間の開通に対する期待が背景にある。五輪開催に向けた社会の気運などの後押しがあれば、間に合う可能性もある。

■大泉―東名間は2014年度初頭に発注

 外環道の大泉JCT―東名JCT間をめぐる動きも活発になってきた。国交省関東地方整備局と東日本高速道路会社、中日本高速道路会社が共同で事業を進め、北行きと南行きの大断面シールドトンネル2本を、40m以深の大深度地下に延長16.2kmにわたって構築する。3者は2013年11月8日、大深度地下特別措置法の利用を国交相に申請した。

 トンネル本体工事は、南行きを東日本高速道路会社、北行きを中日本高速道路会社が建設。2本のトンネルを大泉JCT側から約7km、東名JCT側から約9kmの地点で分割し、両側から掘り進めて連結する。合わせて4工事を両社がそれぞれ2014年度の第1四半期に発注する予定だ(注:東日本高速道路会社と中日本高速道路会社は2013年11月29日、この4工事について入札を公告した)。


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 シールド機の発進たて坑の工事は、既に先行して準備が進んでいる。2012年9月に中日本高速道路会社が東名JCT側の工事を発注し、清水建設・熊谷組JVが約71億円で受注した。2013年度の第4四半期には、東日本高速道路会社が大泉JCT側の工事を発注する予定だ。

nikkei.com(2014-03-12)