ホンダ、米国販売車ほぼ全量現地生産に 為替変動リスク回避

 【デトロイト=清水石珠実】ホンダの米国法人の幹部は13日、米国で販売する自動車のほぼ全量を北米で生産する体制が年内にも整うとの見通しを示した。主力小型車「フィット」を日本からの輸出から、2月に稼働するメキシコ工場での生産車に切り替える。コスト削減や為替変動リスクの回避を目的とした日本勢の現地生産が一段と進みそうだ。

 米国ホンダのジョン・メンデル上級副社長が北米国際自動車ショーで報道陣に語った。

 ホンダによると2012年末時点で米国で売る「ホンダ」ブランドの車の91%を北米(メキシコ含む)で生産している。年20万台の生産能力を持つ工場をメキシコに建設することで、年内にも同比率が98%に高まる。高級ブランド「アキュラ」を含めても95%になる。一部のハイブリッド車(HV)やプラグインHVを除いて北米で量産する体制となる。メンデル氏は「今後も(比率は)高まるだろう」と話した。

 ホンダは北米の生産比率を高める狙いについて「輸送コストを削減できるほか、為替の変動リスクも避けられる」(米国ホンダのマイケル・アカビティ上席副社長)と説明した。フィットをメキシコ製に切り替えることで、米国でどの程度コストを下げられるかは明らかにしなかった。「地元の需要変化に迅速に対応できる」という利点もあるという。

 日本の自動車大手による北米生産は、ホンダをトヨタ自動車などが追う構図となっている。トヨタの北米の現地生産率は70%。同社や日産自動車は12年後半までの円高・ドル安傾向を背景に、日本で生産して米国に輸出する主力車を相次いで現地生産に切り替えた。マツダも2月にメキシコの新工場を稼働させて小型車を米国に輸出する。

 ホンダは世界中で「市場のある場所で生産する」(伊東孝紳社長)ことで為替の変動リスクを抑え、いち早く現地の需要を商品に反映できる体制作りを進めている。今後は品質を確保し、コストをさらに下げるため、部品調達の現地化も課題に挙げている。

nikkei.com(2014-01-14)