増税前、クルマ増産急ぐ フィット製造拠点増

 来年4月の消費増税前に自動車を駆け込みで買う動きが出はじめた。11月に乗用車メーカー8社が国内でつくった車は合計で、前年同月より1割増えた。各社は休日を返上したり、臨時に雇う従業員を増やしたりして増産への対応を急ぐ。

 各社が25日に発表した11月の生産や輸出の実績によると、国内では前年同月より10・5%多い、計80万567台の車がつくられた。

 人気車の生産を米国に移した日産自動車をのぞく7社で生産は前年を上回った。

 日本自動車工業会の名尾良泰副会長は「駆け込みがはじまっている」と指摘する。自動車は来年4月からの消費増税にあわせ、自動車取得税は2%分(軽自動車は1%分)下がる。差し引きでは、すべての車種で値上げになる。

 ハイブリッド車(HV)など、燃費の良い人気車種はすでに取得税がゼロ。このため取得減税の恩恵はなく、消費増税分の値上げとなる。

 「新型車の人気が続いており、どこまでが駆け込みなのか分からない」(マツダ)との声もあるが、今後、駆け込みが加速するのは確実だという。

 ホンダは人気のフィットを、寄居工場(埼玉県)だけでなく鈴鹿製作所(三重県)でもつくりはじめた。年明けからは休日の工場稼働日も増やす。日産も「生産体制を柔軟に見直したい」(広報)という。また、多くの会社が、臨時の期間工の募集に力を入れている。スズキも約2年ぶりに、期間工を雇うことを検討している。

 一方、三菱自動車や富士重工業は、「現状でもフル生産の状態で、増産は困難」という。

 ただ、駆け込みは一時的に売り上げが伸びるものの、メーカーは歓迎しているわけではない。「その後の反動減も大きい」(大手幹部)からだ。心配する声も根強い。

asahi.com(2013-12-26)