米新車販売:「大型」人気復活 低燃費の日本勢苦戦も

 【ワシントン平地修】米調査会社オートデータが3日まとめた2013年の米新車販売台数は、前年比7.6%増の1560万199台と07年(約1615万台)以来6年ぶりに1500万台の大台を確保。米景気回復の継続を背景に各メーカーは14年も販売増を見込み、リーマン・ショック前の1600万台の水準を回復する可能性が高まっている。ゼネラル・モーターズ(GM)など米国勢は得意のピックアップトラックやスポーツタイプ多目的車(SUV)を中心に攻勢をかけており、トヨタ自動車など日本メーカーとの競争もより激化しそうだ。

 13年の米自動車市場は、「米経済の回復を上回るペース」(米大手)で拡大を続けた。金融危機のあおりを受けて新車販売は09年に約1043万台まで落ち込み、GMやクライスラーを経営破綻に追い込んだが、13年は危機前に迫る水準まで回復した。とりわけ目立つのが、後部に荷台を持ち乗用車としても使われるピックアップトラックや、SUVの好調さだ。フォードの主力ピックアップトラック「Fシリーズ」は18.3%増と大幅な伸び。シェール革命の効果でガソリン価格が低下傾向で安定していることが大型車の人気に再び火を付け、トラック需要に直結する住宅市場の回復も販売を後押ししている。また、「歴史的な低水準」の自動車ローン金利も販売増の大きな要因だ。

 14年も各メーカーは「堅調な景気回復が見込まれ、大きなチャンスがある」(GM幹部)と強気な姿勢で、フォードは業界全体で1600万?1700万台の販売を予想。金融危機時の買い控えの反動による買い替え需要は一巡したが、「経済成長全体からの恩恵が見込まれる」(米国トヨタ自動車販売のフェイ副社長)という。

 ただ、日本勢はトヨタのハイブリッド車、プリウスの販売が13年は1%減少するなど、得意とする低燃費車がピックアップトラックなどに押され気味。このまま大型車の復活が続けば、苦戦を強いられそうだ。また、米連邦準備制度理事会(FRB)による量的緩和策の縮小で、いずれは長期金利が上昇する可能性もあり、自動車ローン金利の上昇が業界全体の逆風となる恐れもある。

毎日新聞(2014-01-04)