ホンダ、中国で低価格ハイブリッド 合弁先と開発
100万円台半ばで16年発売

 ホンダは2016年に中国で低価格のハイブリッド車(HV)を発売する。提携先の自動車大手2社と共同開発して現地生産する。構造が簡単な基幹システムを採用し、同国で販売しているHVのほぼ半額の100万円台半ばの価格で売る予定。中国政府は大気汚染対策の一環でエコカー普及策に力を入れており、ホンダは低価格車の投入により出遅れている同国市場で巻き返しを急ぐ。

 トヨタ自動車も第一汽車集団(吉林省)、広州汽車集団(広東省)とHVの共同開発を表明している。HVで先行するトヨタ、ホンダが相次いで低価格モデル投入に踏み切ることで、世界最大の自動車市場での普及を後押ししそうだ。

 ホンダは東風汽車集団(湖北省)、広州汽車との合弁拠点で低価格HVを共同開発・生産する。小型車「フィット」シリーズをベースにする見通し。現在、日本で販売する「フィットハイブリッド」が163万5千円と世界で最も安い。その水準まで価格を引き下げる。年間数千台規模で生産を開始、売れ行きを見ながら同2万〜3万台程度まで増やす。

 ホンダは2種類のHV技術を持つが、ガソリンエンジンをモーターが補完するシステムを最初の技術供与の対象とする。構造が単純なため設計・製造技術を移転しやすい。現地の部品メーカーの部品や設備でつくれるように設計も見直す。

 現在、中国で販売する「フィットハイブリッド」は日本から輸出するため高い関税がかかり価格は17万9800元(約300万円)と同クラスのガソリン車の2倍と高い。このためホンダのHV3車種の中国での販売台数は今年1〜11月の累計で133台にとどまる。

 中国政府は自動車産業の強化・育成を目指し、EVに対して最大6万元(約100万円)の購入補助金の付与や地場メーカーへの支援をしてきた。中国を代表する比亜迪(BYD)のEV「e6」でも価格が約37万元(約630万円)と高価で12年の販売は約1700台と成果は出ていない。

 大気汚染などの問題から、5月にEVや家庭で充電できるプラグインハイブリッド(PHV)を対象に補助金を付けて、20年までに500万台普及させる新たな燃費規制を導入。現地でのエコカー開発の機運が再び高まっている。ホンダとトヨタは現地メーカーの技術力底上げにつながる共同開発に踏み切ることでHVの購入補助金など支援を引き出したい考えだ。

 中国では日産自動車が11月、14年から中国独自ブランドでEVを発売することを表明。独フォルクスワーゲン(VW)、米ゼネラル・モーターズ(GM)など欧米勢もEVの発売を計画。ホンダは低価格HVの発売で12年に約60万台(シェアで約4%)にとどまる中国での販売台数を15年に130万台まで高める。

nikkei.com(2013-12-12)