(教えて!東京五輪)首都圏の道路整備は間に合う?


 2020年の東京五輪の開催までには、東京都心や関東圏の道路整備がすすみそうだ。政府や東京都はもともと、16年に五輪を招致するつもりで、すでに首都圏の道路網整備を決めていたからだ。

 五輪会場となる多くの競技場がおかれる「東京湾岸・有明地区」と、東京都心を結ぶ大動脈になると期待されているのは、15年度に開通予定の一般道路、「環状2号線」の延伸部分だ。

 環状2号線は、第2次大戦後に神田―赤坂間を結ぶ道路としてつくられた。現在は「外堀通り」の一部として知られ、虎ノ門まで延びている。この外堀通りから虎ノ門付近で枝分かれする形で、有明地区まで続く道路の工事を都がすすめている。地上や地下、時には超高層ビルの中も通り、片側1〜3車線が約5キロ続く巨大プロジェクトだ。

 一方、都心の渋滞を解消するため、3重の輪のようにつくられている高速道路「3環状道路」は、20年度には9割が完成する。

 一番内側は「首都高中央環状線」、その外側で23区を囲む「外環道」、さらに外側で1都4県にまたがる「圏央道」――三つの高速道路だ。中部・西日本と、東北を行き来する車が、渋滞が激しい都心を通らずに迂回(うかい)できるようになる。

 「首都高中央環状線」は14年度に全線が開通。「圏央道」は、15年度中に千葉県の一部を除くほぼ全線が開通する予定だ。

 焦点は「外環道」だ。常磐道と東関東自動車道を結ぶ路線は15年度に開通する予定だ。しかし、関越道―中央道―東名高速を結ぶ、練馬から世田谷までの約16キロの区間は、開通のめどが立っていない。約1・3兆円の事業費がかかるといわれているが、地上部分の用地買収などが難航。地下40メートルにトンネルを通す計画で、地下水汚染を心配する住民からの反対運動も広がっている。

 国土交通省や地方自治体は、20年の五輪開催をテコに、さまざまな道路の建設も狙っている。ただ、日本は主要国で最悪の財政状態だ。財務省は「要望に応えていったら、財政悪化に歯止めがかからなくなる」(幹部)と警戒している。

 実は、新たな道路づくりよりも差し迫った課題は、老朽化対策だ。特に、1964年の東京五輪の直前に整備された首都高は、総延長300キロのうち、完成後40年以上たつ道路が約3割を占め、壁がはがれ落ちるなどの劣化が目立つ。
 (木村聡史、後藤遼太)

asahi.com(2013-11-23)