消費税8%時、エコカー減税拡大 総務省が改革案

 総務省は17日、消費増税に備えた自動車税制の改革案をまとめた。消費税率が8%に上がる2014年度に自動車取得税(地方税)のエコカー減税を拡大する。燃費の良い車は購入時にかかる取得税を軽減する。ただ自動車業界は現行5%の取得税率を一律3%引き下げることを求めており、調整は難航も予想される。

 今年1月に与党税制調査会がつくった税制改正大綱で、取得税は消費税率が8%になる時点で引き下げ、10%の段階で廃止することが決まった。取得税は約1900億円の税収があり、大綱には地方財政に影響を与えないよう別の財源を確保することも記された。

 総務省の改革案では、まず消費税率が8%になる時点で10年度燃費基準を満たす自動車の取得税を軽減する。基礎控除を導入し、購入額から差し引いて課税額を圧縮する。高級外国車などごく一部を除き減税になる見通し。購入額が基礎控除の枠内に収まれば、取得税は無税になる。消費増税による駆け込み需要やその後の反動減を抑えるのが狙いで、減少する地方税収をどう補うかは今後検討する。

 業界や経済産業省が求めている取得税の一律引き下げは「環境性能の低い高級車ほど税負担が大きく減るので問題だ」として採用しなかった。

 さらに消費税率を10%に引き上げる段階では保有税(地方税)を増税する。取得税の廃止による税収の減少分を増税で補うとともに、取得税のエコカー減税に代わってエコカーの普及を促す役割も保有税で引き継ぐ。具体的には、保有税の自動車税と軽自動車税に燃費に応じた課税を取り入れるべきだと明記した。

 購入初年度にかかる保有税は燃費に応じた部分と購入額に応じた部分の両建てとなり、これにも基礎控除を導入する。エコカーの普及を促しつつ、低価格車の負担が重くなりすぎない税制にする。2年目以降は排気量に応じて課税する現行方式をベースにし、燃費による課税の組み込みを検討する。

 改革案は軽自動車や営業車は保有税を優遇しすぎているとして「適正化を検討すべきだ」とも訴えた。環境性能などの観点で比べると、税率に現行ほどの差を付ける必要はないとしている。

 消費税率が10%になる段階で改革案通りの税制が導入されれば、燃費の悪い高級車や軽自動車は増税になりそうだ。これに対し、スズキの鈴木修会長兼社長は「軽は所得の比較的少ない方々が生活や商売に使う。弱いものいじめだ」と主張する。

nikkei.com(2013-10-17)