自動運転、国内3社出そろう ホンダが初公開

 ホンダは15日、都内で開催中の「ITS世界会議 東京2013」で歩行者の動きを予測して走行する自動運転車を初公開した。同日までに関連技術を発表したトヨタ自動車と日産自動車を加えた国内大手3社の自動運転技術が出そろった。各社は安全技術の究極の進化形ともいえる自動運転で「交通事故死ゼロ」社会の実現を目指す。エコカーなど環境技術に次ぐ競争軸になりそうだ。

 ホンダは東京・江東の会場で新型の「アコード ハイブリッド」をベースに開発した自動運転車を初公開。屋外の専用コースを時速約20キロメートルで実演走行した。

 歩行者などを認識して車をどう操作するかの判断に、同社のヒト型ロボット「ASIMO(アシモ)」で培った周囲の人の動きを分析する技術を応用。車載カメラで歩行者の体の向きを認識し「道路を渡ろうとしている」と判断した場合に自動でブレーキをかける。

 歩行者が持つスマートフォンに組み込んだ専用ソフトと自動運転車が無線通信し、死角からの急な飛び出しにも対応して衝突を防ぐ機能もある。

駐車場の監視カメラの画像データを活用し、指定した場所に無人で駐車する技術も披露した。

 トヨタはITS世界会議開幕前に自動運転システムを報道陣などに公開。カメラとレーダーで道路の白線や前方車両の走行軌跡を検知し、首都高速道路を実際に自動走行できる試験車両を初めて披露した。日産は今月初めに開催されたIT(情報技術)・家電の国際見本市で電気自動車(EV)「リーフ」をべースにした自動運転車を公開。対向車両を認識して交差点などを自動走行するデモを披露した。

 人為ミスの排除を目指す自動運転は「究極の安全技術」とされる。日産の志賀俊之最高執行責任者(COO)は「EVなどエコカー技術と組み合わせることで『環境問題』と『交通事故』という自動車産業の二大問題を解決できる」と指摘する。

 実現時期についてホンダは明言しなかった。トヨタは今回公開した技術を「運転支援システム」として2010年代半ばの実用化を目指す。日産は20年までに自動運転車を市販すると発表済み。

 トヨタの豊田章男社長は15日、ITS世界会議の会場で「クルマだけではなく、道路などの社会インフラとも連携して交通事故死ゼロを目指したい」と強調した。今後、規制当局などとの緊密な連携も自動運転の実用化に向けたカギになる。

nikkei.com(2013-10-15)