ホンダ二輪車、インド攻勢 工場新設や増強 次々

 ホンダが、インドで二輪車の生産を大幅に増やす。今年5月にインドで三つめの新工場を立ち上げたのに続き、2016年の稼働をめざす第4工場も建設地を絞り込んだ。生産能力を強化して、急成長するインド市場での主導権を握る狙いだ。

 人口12億5千万人を超えるインドでは、「庶民の足」として日本円で7万〜8万円程度の二輪車が急速に普及している。昨年度は前年度比約3%増の約1400万台が売れ、トップだった中国に肩を並べた。

 ホンダは昨年度、インドで前年度比約3割増の261万台を販売。かつて合弁を組んでいた、市場占有率(シェア)約4割の現地企業「ヒーローグループ」に次ぐ存在になった。ただ、世界全体でトップを走るホンダにとっては、インド市場で後れを取るわけにはいかない。インド国内の景気減速や通貨不安などはあるが、「中長期的には間違いなく成長が見込める」(広報部)とみて、数年後にはこの現地企業を追い抜く目標を立てている。

 今年5月に247億円をかけ、年120万台を生産できる工場を同国南部に立ち上げ、北部の第1、第2工場と合わせた生産能力を年400万台に引き上げた。第3工場では、7万円台の量販車種「ドリームユーガ」などをつくる。第3工場はさらに増強し、14年前半には460万台に増やす。第4工場は16年の稼働を目指し、候補地を同国西部に絞り込んだ。

 日本では、1980年代に年間200万台売れていた二輪市場が、今では40万台ほどに縮んでいる。このため国内各社は東南アジアなどでの販売を強化してきたが、ここにきて成長が加速しているインドへの攻勢を強めている。

 ヤマハ発動機は、もともとインドでは「量より質を目指す」(広報グループ)として、性能が高く高額な大型二輪車を中心に販売してきたが、方針を転換。昨年からスクータータイプの小型商品を投入し、販売拡大を目指すことにした。来年には、小型専門の新工場をインド南部に立ち上げる。(大和田武士)

asahi.com(2013-09-05)