ホンダが燃費世界最高のHV 次期フィット、リッター36キロ

 ホンダは燃費性能が世界最高水準のハイブリッド車(HV)を開発した。主力車「フィット」のHV次期モデルで、ガソリン1リットルあたり約36キロメートルと現行モデルより燃費が約4割改善する。HVを軸に次期フィットは9月の日本を皮切りに世界で投入し、同シリーズの世界販売は2016年度で現在の2倍近い150万台に増やす。16年度で5割増を目指すホンダの世界販売をけん引する。

 フィットHVの燃費は国土交通省の定めるJC08モードで算出した。同モードでみた燃費はトヨタ自動車の小型HV「アクア」が35.4キロメートルで、HV「プリウス」は32.6キロメートルだ。ホンダのHVでは、先月発売のセダン「アコード ハイブリッド」(30.0キロメートル)が最高だった。

 ガソリン車を含む次期フィットは3代目で、なかでも技術力を結集したHVが目玉だ。HVはエンジンとモーターを組み合わせて走る。低・中速走行時に現行モデルはエンジンとモーターを併用していた。次期モデルはモーターだけを使い、ガソリン消費を抑える。これにより、現行モデル(26.4キロメートル)より大幅に燃費を改善させた。

 次期フィットは日本発売後、米欧など世界で販売する。販売価格は現行のフィットHVが159万円からで、ほぼ同等となる見通し。独自の塗装工程を開発して生産コストを抑えた寄居工場(埼玉県寄居町)を月内に稼働させ、生産する。

 ホンダは16年度の世界販売で現在の約5割増の600万台を目指す。このうち、フィットシリーズ(車台の共通車種含む)だけで4分の1の150万台(現在は約80万台)を計画しており、フィットが販売の伸びをけん引する格好となる。  日米欧の先進国だけでなく、中国など新興国でも環境規制が強化される傾向にあり、ホンダは燃費性能が高い小型車の需要が今後も拡大するとみている。小型車はフィットシリーズを中核に据え、HVは北米やアジアなどに投入する。インドでは低燃費のディーゼルエンジン車の開発も予定しており、環境技術をテコに販売を伸ばす。

 同社は2日に米ゼネラル・モーターズ(GM)と、次世代エコカーの大本命とされる燃料電池車の共同開発などで提携した。量産効果による低価格化が必要な燃料電池車ではこれまでの独自路線から転換する。一方、技術確立や量産に一定のメドが立ったHVでは、独自開発でシェア拡大を図る方針で、戦略の使い分けが鮮明となる。

《追記》
☆本田技研工業情報 「新型フィット ハイブリッドが国内ハイブリッドモデルとして最高燃費36.4km/Lを達成 〜軽量コンパクトハイブリッドシステム「SPORT HYBRID Intelligent Dual Clutch Drive」を新型フィットに初搭載〜」ここをクリック

nikkei.com(2013-07-04)