都市対抗野球:ホンダ熊本 下位打線が爆発

 ○ホンダ熊本6ー1JR九州●(九州第1代表決定戦)

 準決勝までの2試合とも4安打だったホンダ熊本打線が、大一番でよみがえった。火をつけたのは計7安打を放った下位の3人だ。

 相手は手の内を十分に知るJR九州のエース・浜野。右横手からの球を仕留めるため、渡辺監督は左打者6人を送り込んだ。二回2死から打席に立った7番・畠中はその一人で今予選初スタメン。「使ってもらったからには思い切っていく」と甘いスライダーを引っ張り、チーム初安打の右中間二塁打。ここから一気に畳み掛けた。

 続く8番・浜岡も「スライダーに絞っていた」と初球を引っ張り、先制の左越え適時二塁打。さらに9番・佐久本が中越え適時三塁打で続いた。四回も2死後、再び畠中からの3連打で満塁とし、走者一掃の右中間適時三塁打を放った1番・岡崎は「下位が流れを作ってくれた」と感謝する。

 猛攻で圧倒したが、渡辺監督の信念は揺らがない。「打線は水物。うちはバントと守りのチーム」。大会を通じて投手陣の安定ぶりが光った。この試合も江波戸が8回1失点でまとめ、2番手・平田は全3試合で無失点の救援。盤石な投手陣がいるからこそ、快音が出なくても小技で着実に点を積み重ね、勝ち抜くことができた。

 昨年の2大大会はともに初戦敗退。攻守でミスが出た悔しさを胸に、例年より約1カ月早い12月からトレーニングに励んだ。そして5月の九州大会で初優勝し、2年ぶりに第1代表に返り咲いた。「雰囲気は最高潮。まずは1勝」と主将の熊丸。今年こそ大舞台で自分たちの野球を見せつける。【大村健一】

毎日新聞(2013-06-07)