ホンダ、インドで巻き返し 二輪に低価格車投入

 【ニューデリー=庄司将晃】ホンダがインド市場で巻き返しに出ている。インドの二輪市場で、かつては地元企業との合弁で首位を独走していたが、合弁解消後は一時4位まで転落していた。いまは2位まで順位を上げ、首位奪還が視野に入ってきた。

 インド二輪子会社は17日、4万3150ルピー(約7万8千円)のオートバイを5月に売り出すと発表した。村松慶太社長は「ホンダとしてはインドで最も安い二輪だ」と宣言した。インドの二輪市場で首位に返り咲くための切り札だ。

 インドの二輪車市場の規模は2012年度で1379万台余りで、中国に次ぐ世界2位だ。100〜110ccで4万ルピーそこそこのシンプルなオートバイが市場のほぼ半分を占める。ホンダの売りは品質の高さだが、価格がやや高めだった。今回の低価格車投入は、シェア拡大に向けた強い意欲のあらわれだ。

 国内の生産能力は年280万台だが、来月にも3番目の工場を南部カルナタカ州で稼働させ年400万台に引き上げる。販売・サービス店網も2012年度末の1950店から、今年度中に2500店に増やす。

 ホンダはかつて地元財閥系のヒーローと合弁を組み首位を独走していた。だが、経営方針を巡る意見の違いもあり11年に合弁を解消。一時はシェア4位に転落した。

 しかし、12年度には、シェアが18・9%に上がり、地場大手のバジャージ・オートを抜き2位に浮上。かつての合弁相手で首位のヒーロー・モトコープは42・9%で差はまだ大きいが、「3、4年以内に1位をとりたい」(ホンダ幹部)と意気込む。

 一方で、世界5位の規模があるインドの四輪車市場では、出遅れている。12年度の国内乗用車販売268万台余りのうち、ホンダのシェアは2・7%。39・1%で首位を走るスズキの背中は遠い。

 インドでは軽油価格が補助金で低く抑えられ、ディーゼル車の人気が高いが、ホンダはガソリン車しか投入していなかった。

 そんななか、ホンダは11日、ディーゼルエンジンを積んだインド向け小型セダン「アメイズ」を初めて発売した。今後もディーゼル車を相次ぎ投入する。最低価格が30万ルピー台となる可能性がある小型戦略車の開発も進めている。幅広い車種をそろえ、四輪市場でもシェアを拡大したい考えだ。

asahi.com(2013-04-17)