ホンダ、売電参入方針 乗用車メーカーで初、新工場で太陽光発電

 ホンダは16日、メガソーラー(大規模太陽光発電)事業に参入する方針を明らかにした。埼玉県に建設している新工場の屋上に太陽光パネルを大量に設置し、自然エネルギーの固定価格買い取り制度を使ってすべて売る計画だ。国内の乗用車メーカーでは、初めての試みとなる。

 メガソーラーを設置するのは、7月に操業を始める予定の埼玉製作所寄居工場(埼玉県寄居町)。車の組み立て工場の屋上などに約2万枚の太陽光パネルを敷く作業を進めている。

 発電能力は約2600キロワットで、一般家庭459世帯分の電力を賄える規模。原則として、全量を電力会社に売る方針だ。6月に開く株主総会で、売電事業に参入するために定款を変更する必要がある。8月から発電を始める予定だ。

 寄居工場は、今秋にも全面改良する小型車フィットを集中生産する最新鋭の主力工場で、年産能力は25万台。東日本大震災後の電力不足の経験もふまえ、新工場には天然ガスを燃料とするコージェネレーション(熱電併給)設備を置き、工場で使う電力の最大約3割を賄う計画だ。

 これとは別に、メガソーラーは工場のフル操業時に必要な電力の3・7%を賄える。災害時などは、工場の電力として使えるが、「平時はすべて売電に回したい」(担当者)考えだ。

 電力不足に見舞われた2011年夏、自動車業界は節電対策として「木金休業・土日操業」という休日シフトに取り組んだ。電力使用量の分散には効果があったが、従業員や部品メーカーの負担が重く、翌年は実施しなかった。自動車各社は、代わりに自家発電の設備を増やす取り組みを強化してきたが、ホンダの新工場の取り組みは、こうした節電努力が売電にまで進化したものといえそうだ。(豊岡亮)

asahi.com(2013-04-16)