ホンダ、新興国向け50万円車 16年度にも発売

 【ニューデリー=庄司将晃】ホンダが、新興国向けに低価格の小型戦略車の開発に着手した。2016年度にも、インドに50万円台で投入するとみられる。中間層が育ってモータリゼーションが進むアフリカなどの市場も開拓し、収益の柱に育てる考えだ。

 アジア・太平洋地域の開発・生産を統括する松本宜之常務執行役員が11日、朝日新聞の取材に「(低価格車の投入は)当然だ。作業はすでに始めている」と語った。日本でヒットした軽自動車、NBOX(エヌボックス)などの車種をベースにするといったコストを抑える方法を検討し、インドの自社工場での生産を想定している。

 インドの12年の新車販売(商用車含む)は358万台。ドイツを上回って世界5位に浮上した。乗用車では、日本のスズキや、「ナノ」(最安なら30万円弱)で知られる地元財閥系のタタ自動車が強い。

 ホンダは11年、アジア向け小型車「ブリオ」をインドでも発売した。価格は70万円台からと売れ筋の40万〜50万円台には開きがあり、販売は年3万2千台余り。他車種を含めてもシェアは3%弱にとどまる。

 ホンダは年約400万台の世界販売を16年度に600万台にする目標を掲げ、うち新興国が300万台だ。松本氏は「新型車をアフリカなどに輸出する可能性もある」と語った。

 自動車各社は、大きな成長が見込める新興国に狙いを定めて低価格車でしのぎを削る。トヨタ自動車は11年、インドで70万円台の乗用車を発売。日産自動車も、最低価格が60万円台以下とみられる「ダットサン」ブランドの小型車を14年にインドなどで売り出す計画だ。

asahi.com(2013-04-11)