トヨタ・ホンダの収益回復鮮明 円高修正追い風

 世界の自動車業界で日本の大手の収益回復が鮮明だ。主要12社の2012年度の連結営業損益を調べたところ、トヨタ自動車が前年度8位から2位に浮上。日産自動車、ホンダを含む日系3社の営業利益は5年ぶりに2兆円を超える。11年の東日本大震災で落ち込んだ反動などで販売が伸びたほか、為替の円高修正も追い風だ。13年度はトヨタが独フォルクスワーゲン(VW)を抜いて6年ぶりに首位に返り咲くとの見方もある。

 海外勢の12年12月期実績と日本勢の13年3月期見通しをまとめた。前年度は円高や自然災害が日本メーカーの収益を直撃。日本勢は最上位の日産自動車でも5位にとどまり、1〜3位をドイツ勢が独占していた。

 12年度は日本の大手3社がそろって増益となる。3社の世界販売は約1800万台と前年度比2割弱増え、9000億円前後の増益効果を生む。北米販売の伸び率が24%と特に大きい。ホンダの利益は前年度の10位から8位に上がる。

 円高修正を受け、前年度まで日本勢の営業利益を押し下げていた為替の影響は大きく縮小。トヨタの場合、11年度は年間で為替が2500億円の減益要因だったが、12年度は300億円の増益要因になる見通し。14日時点で円相場は1ドル=96円前後、1ユーロ=125円前後と各社の想定より一段の円安に振れており、日本勢の利益にはなお上ぶれ余地がある。

 欧米メーカーは収益にブレーキがかかった。VWは14日、12年度決算を正式発表した。営業最高益を更新し世界でも首位を守る見通し。世界販売は過去最多の927万5000台だったものの、増益率が2%にとどまったのは欧州市場における価格競争の激化などが響いたためとみられる。日本メーカーより比重が大きい欧州販売の低迷が欧米勢に共通する悩みだ。

 米フォード・モーターは5位に後退した。欧州事業の赤字額が前年度の2700万ドルから17億ドル強に急拡大し、全体の足を引っ張った。米ゼネラル・モーターズ(GM)は資産の減損処理で一過性の費用が膨らみ、大幅な営業赤字となった。欧州の低迷が減損処理を余儀なくされた一因だ。

 日本勢が苦戦する間に躍進した韓国・現代自動車も新車投入の一巡や為替の円安・ウォン高を受け、足元では変調を来している。12年10〜12月期の営業利益は前年同期比12%減少した。

nikkei.com(2013-03-15)