ツートン塗装も機械化 ホンダの軽Nシリーズ
 販売好調、納期短縮へ

 ホンダは、カラフルさで人気の軽自動車Nシリーズで、「軽市場」へ一段と攻勢を強める。不振の国内市場にあって、軽は「頼みの綱」。手作業だった工場の塗装工程を機械化し、納期を大幅に縮める。車体の色も増やし、若い層にアピールする。

 昨年11月発売の軽乗用車N―ONE(エヌワン)は、軽では異例の16色を展開する。2万5千台を超えた受注の2割強を、車体と屋根の色が違うツートンカラーの車両が占めている。

 なかでも車体が赤、屋根が黒の組み合わせは、白の単色に次ぐ2番目の人気色。こうしたカラフルさが、個性的な車を求める若い層に人気だという。

 ツートンはなるべく簡素で低価格を売りにする軽では、あまり使われない。ツートンの塗装は人手も時間もかかるためだ。

 Nシリーズを生産する鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)では、現在単色を塗った車をいったん生産ラインから外し、屋根を除く車体をビニールの保護膜などで覆ってから、塗装技師がスプレーで屋根を上塗りしている。

 販売価格も単色より約5万7千円割高。だが、N―ONEは「想定を超える売れ行きで、納車まで2カ月以上待ち」(広報)というヒット商品になっている。

 この勢いに弾みをつけようと、ホンダは、鈴鹿製作所の塗装ラインを変える。今夏までに屋根の塗装工程をすべて生産ラインにのせることで、納期を縮める方針だ。

 機械化することで「人手がかかり、やりたくても増やせなかった」(デザイン担当者)というN―ONEやNBOX(エヌボックス)のツートンの色展開を増やせるようになる。

 国内の自動車市場は、若者の「クルマ離れ」を背景に普通車市場はセダンを中心に伸び悩んでいる。そのためホンダは、国内市場では軽市場に本腰を入れていく考えだ。ライバルのスズキ、ダイハツ工業の「軽2強」との違いを出すため、高くても個性を出せる色展開やオプション装備の充実を図る方針だ。(豊岡亮)

asahi.com(2013-01-09)