ホンダ、部品費3割減 主力3車種で共通化
240万台分 新興国でVWに対抗

 ホンダは部品調達費の大幅な削減を狙って自動車の設計・生産手法を転換する。「シビック」や「アコード」など世界販売で上位3車種の基本構造(車台)を統一して部品の共通化を加速。部品1種類あたりの年間発注数量を現在の4倍の最大240万個に引き上げ、今後3〜4年で3車種合計の調達費を3割減らす。低価格化で先行する世界大手に対抗し、新興国市場の開拓を急ぐ。

 世界の自動車大手では独フォルクスワーゲン(VW)と韓国・現代自動車が新興国を中心に販売を急拡大している。両社ともに部品共通化などによるコスト競争力の高さが強み。特にVWは共通化で先がけ、グループ全体の販売台数の半分に相当する約400万台分を大量発注している。

 ホンダは新興国での拡販などで2016年度の世界販売台数を現在より5割多い600万台にする計画を表明している。同時に共通化を通じて車の製造コストの8割程度を占める部品調達費を削減。地域に合った新型車を短期間に開発して投入できるようにもする。

 15〜17年に発売するシビック、アコード、多目的スポーツ車「CR―V」の次期モデルの車台を統合。一般に3万点に上るといわれる部品を金額ベースで4〜5割共通化する。現行モデルでは共通化の比率が車台の異なるシビックとアコードで数%、車台が同じシビックとCR―Vでも2割程度だった。3車種の次期モデルの販売台数はそれぞれ年70万〜80万台を見込んでおり、合わせて16年度の販売計画の4割程度を占める見通し。  発注先も見直し、新興国を含めた各地で部品を供給できる世界大手との取引を拡大する。独ボッシュやデンソーなど大手30社程度への発注比率を20年に40%と、11年の16%から大幅に高める。

 ホンダではこれまで車種ごとに分かれた開発陣が細かな部品までつくり込み、部品一つ一つを取引先から仕入れて自社工場で組み立てていた。今後はこうした開発手法を転換。カーエアコンなどは部品メーカーに仕様だけを提示、設計・開発や組み立てを任せる。

 ホンダの伊東孝紳社長は「数量が多いほど質は高まりコストが下がり、競争力も高まる」と話す。3車種以外でも主力小型車「フィット」や軽自動車でコスト削減を推進する。販売価格を抑えたり、次世代技術への投資を増やしたりして競争力を高める。

 ホンダが部品の共通化を一挙に進める戦略を打ち出したことは国内外の競合他社の動きにも影響を与えそうだ。ホンダと取引の多い日系部品メーカーは生産規模で世界大手との差が広がることから業界再編に動く可能性がある。

nikkei.com(2013-01-05)