11月の米新車販売、高水準 4年10カ月ぶり

 【ニューヨーク=畑中徹】米調査会社オートデータは、米国での11月の新車販売台数が前年同月比15.0%増の114万台だったと発表した。このペースで1年間販売が続いたと想定した年換算は1554万台となり、リーマン・ショック前の2008年1月以来、4年10カ月ぶりの高水準となった。

 前年同月比でのプラスは18カ月連続。減税打ち切りと歳出削減の時期がほぼ重なる「財政の崖」問題などで、米景気の先行きには不透明感も漂うが、米国の自動車市場は着実な回復ぶりをみせている。

 日本車が全体を引っ張った。ホンダは前年同月比38.9%増となり、11月では過去最高を記録。トヨタも主力車の販売が好調で、同17.2%増えた。

 11月の販売が伸びたのは、10月に東海岸を直撃したハリケーン「サンディ」被害による買い替え需要が膨らんだためだ。買い替えは各社合計で10万台規模にのぼるとの推計もあり、「サンディ被害の買い替え需要は数カ月続く」(米フォード幹部)とみられる。

 ガソリン価格が高止まりしており、消費者の間に燃費のよいハイブリッド車や小型車に買い替える動きも相次いでいる。自動車ローン金利も大きく下がっていることも、消費者の購入意欲を刺激する。

 ただ、「財政の崖」問題がこじれるようだと、消費者は新車購入を控える可能性がある。「来年の販売見通しは、米財政問題が落ち着いてから示したい」(米ゼネラル・モーターズ幹部)など、各メーカーは身構えている。

asahi.com(2012-12-04)