ホンダ、主力セダンを北米で開発 「シビック」など
現地化進め競争力 国内は次世代技術

 ホンダは2016年ごろに発売する主力セダン「シビック」「アコード」の次期型車から、設計開発業務を北米の拠点に移す。両車種はホンダの世界販売の3分の1を占める主力乗用車。生産だけでなく開発面でも現地化を進め、連結営業利益の4割を稼ぐ北米事業をさらに強くする。旗艦となる乗用車開発を日本以外で本格的に手がけるのはホンダが初めて。グローバル化に対応する自動車大手の取り組みが新たな段階に入った。

 ホンダは日本を中心に進めてきた車づくりを大きく転換。新車の販売競争が激化する中、開発体制を世界的な分業体制に切り替える。日本国内では9千人の技術者のうち移管で浮いた人員を、燃料電池車など環境対応車や次世代技術の開発に振り向け、国際競争を勝ち抜く体制を築く。

 ホンダは米子会社「ホンダR&Dアメリカズ」のオハイオ州の設計開発拠点で次期型シビックの開発に着手した。車体や内装の設計から調達する部品の選定、量産の体制づくりまで米国人技術者を中心に行う。16年ごろに発売する見通しだ。

 次期型アコードも同拠点で近く開発を始める。両車種の世界販売台数はそれぞれ年間50万〜60万台程度で、約半分を北米が占める。主要市場の近くで取り組むことで、より現地の嗜好に合った車を迅速に開発する。

 ホンダは従来、子会社の本田技術研究所の栃木県の開発拠点に権限を集め、約9千人の技術者で世界各国向けの新車開発を手がけてきた。だが、ホンダの国内主力車は小型車「フィット」や軽自動車などに変わり、販売台数が年間数千台にとどまるシビックとアコードなどは国内で開発する意味が薄れていた。一方、北米では技術者が約2千人(日本から赴任した約200人含む)に増え、北米専用車を開発した実績も増えてきたため現地化を進めることにした。

 自動車業界では低燃費のガソリンエンジンやハイブリッド車(HV)、燃料電池車など次世代技術の開発競争が激化している。ホンダの研究開発費は年約5千億円。今後は本田技術研究所から海外向けの車の開発業務を徐々に切り出し、先進技術を各地に提供する役割を強化する。

 地域や車種をまたがる基幹部品や次世代技術の研究開発を強化。ガソリンエンジンやHVなど基幹部品の改良を進めるほか、15年にも発売予定の燃料電池車の開発を加速し、世界の環境技術をリードしていく考え。

 海外に開発機能を持たせる動きはトヨタ自動車や日産自動車にもあるが、特定地域で販売している車種が中心だった。

 トヨタは米国で中型車「アバロン」の開発、生産を実施。日産も今年発売した中型セダン「アルティマ」を米国主体で開発した。両社は新興国向け車両も順次、現地開発に移管する計画だ。

nikkei.com(2012-11-26)