ホンダ、エコカーに照準 超小型電気自動車参戦へ

 【豊岡亮】ホンダが環境技術の多角化に本腰を入れている。ハイブリッド車(HV)の品ぞろえの拡大に加え、電気自動車(EV)にも力を入れ始めたのが特徴だ。水素で走る燃料電池車も2015年から日米欧で順次発売を控えている。エコカー分野でどの技術が勝ち残るかはまだわからない。多角化で競争に備える戦略だ。

 ホンダは、次世代の移動手段として普及が期待されている超小型EVの試作車両を栃木県芳賀町の研究施設で報道陣に公開した。

 昨年の東京モーターショーに出展したコンセプト車を改良したもので、全長2.5メートル、幅1.25メートル、高さ約1.45メートル。大人1人と子ども2人まで乗れる。リチウムイオン電池を搭載し、航続距離(フル充電で走れる距離)は約60キロ。最高時速は80キロだ。来年に公道での実証実験を始める予定だ。

 超小型車の開発には他の自動車メーカーも乗り出しているが、ホンダの超小型車は、電池やモーターなどを床下などに配置した車台の上に様々なボディーを載せ替えられるのが大きな特徴だ。用途に合わせて外観や内装を替えられるため、高齢者や子育て中の家族の身近な移動手段や商店の宅配、通勤など多様な用途に使えるとみている。

 個人所有のタブレット端末を接続すれば、メーターの表示やカーナビ、オーディオなどに利用できる。屋根の上に搭載した太陽電池でタブレット端末の充電もできる。将来的にはこの太陽電池で、走行用の充電を補助できるよう研究を続ける。住宅とつないで家庭用の電力を供給する実験も進める予定だ。

 ホンダは主力小型車フィットをベースにしたEVも開発し、8月末に国内でリース販売を始めたばかりで、EVで攻勢をかけている。

 HVの品ぞろえ強化では、モーターを一つだけ搭載した小型車向けの新たなHVシステムも開発。このシステムを搭載し、市販のHVで最高燃費(ガソリン1リットルあたり35.4キロ)となるトヨタ自動車アクアを上回る低燃費HVを来年発売する見通しだ。EV、HV、燃料電池車のラインアップを強みに据える考えだ。

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 〈超小型車〉 軽自動車より小さく、原動機付き自転車より大きい車。高齢者の身近な移動手段などとして普及させようと、国土交通省が公道走行を認める制度づくりを進めている。日産自動車、ダイハツ工業、スズキなどの各社が1〜3人乗りの電気自動車(EV)開発に着手しており、トヨタ自動車子会社のトヨタ車体が原付き自転車の基準で開発した1人乗りEVのコムスはコンビニ大手セブン―イレブンの宅配サービスに使われている。

《追記》
☆本田技研工業情報 【超小型EV「マイクロコミュータープロトタイプ」を公開 〜2013年より「Variable Design Platform」を採用した車両で実証実験を開始〜】ここをクリック

asahi.com(2012-11-12)