都市対抗野球:東芝がホンダを3-0で降し8強へ

 第83回都市対抗野球大会(毎日新聞社、日本野球連盟主催)は第7日の19日、2回戦3試合。第2試合はホンダ(狭山市)と東芝(川崎市)が対戦し、東芝が3?0でホンダに快勝、8強に進んだ。東芝は21日、前回優勝のJR東日本(東京都)と対戦する。

 ○東芝(川崎市)3-0ホンダ(狭山市)●

 東芝が亀川-新垣のリレーで零封勝ち。五回、二塁打の藤原将を送った1死三塁で井川がスクイズを決めて先制。八回に大河原の2試合連続本塁打で試合を決めた。ホンダは好機を相手の好守に阻まれ、力投した先発・桜田に報えなかった。

 東芝・印出順彦監督 桜田投手がよくて攻略の糸口がなかなか見えず厳しい試合だったが、投手中心に守りが崩れなかった。

 ホンダ・長谷川寿監督 (五回の1死二、三塁の好機に)先に点が取れなかったのが痛かった。大事な試合でミスが出た。個人個人が仕切り直さないといけない。

 ◇補強選手としての役割果たす…東芝の亀川

 薄氷を踏む思いを好投につなげた。東芝の先発は三菱重工横浜の左腕、亀川。ホンダ打線は「3年前の日本選手権で打ち込まれた」という因縁の相手。1回戦では主砲の西郷に大会タイの通算14号3ランも出て、乗っている。「慎重に。丁寧に」を肝に銘じての登板だった。

 コースを突く速球に、落差のある変化球を効果的に織り交ぜた。「補強選手として、しっかりやらなくては」という力投の疲れか、球が浮いたのは六回。先頭に四球を与え、1死後、西郷と対した。

 かつて同じ神奈川の三菱ふそう川崎(休部)にいた西郷は、亀川には「どこに投げても打たれる、雲の上の人」。それでも、捕手の井川は「真っ向勝負」。制球力を信じた。

 外に2球続けて速球を見せ、フルカウント。長打を封じるため注意深く外角に集めてきたことが、この後奏功した。決め球となったのは、西郷の懐への縦のスライダー。亀川が「逆に行ってしまった」という内角球に戸惑うように、バットは空を切った。

 継投した新垣も九回、この回先頭の西郷を速球で二ゴロに仕留めた。相手打線の大黒柱に、「自分のスイングができなかった」と言わしめたことが、東芝の勝因。一方、八回には、遅ればせながら大河原に2試合連続の本塁打。投打に快進撃の予感が漂う。【藤倉聡子】

 ○…東芝は相手の意表をつくスクイズで貴重な先制点をもぎ取った。五回1死三塁、井川がフルカウントから1球ファウルを打つと、印出監督は相手バッテリーの警戒が緩んだとみてスクイズを指示。07年の監督就任後、本大会で初めて出したというサインに、井川は冷静に外角の球を転がして応え、三塁走者が悠々と本塁に滑り込んだ。ホンダの主将、多幡は「小技ができるかできないかの違いが出てしまった」と悔やんでいた。

○…ホンダの桜田が七回途中まで1失点と好投した。今季、突っ込み過ぎる癖を修正したところ制球が良くなった。北海道大会では東芝戦に先発、完投したが、九回に失策絡みで1失点し敗れた。「今度は勝たせてやろう」と先発に起用した長谷川監督の期待に応え、低めに変化球を決めた。「楽しく投げられた」と言うが、五回にスクイズで失点した場面を「フルカウントだったので勝負するしかなかった。先に点を取られ悔しい」。次こその思いを胸に球場を後にした。

mainichi.jp(2012-07-19)