ホンダ、大胆に「軽」シフト 目標は「販売の半数」

 ホンダが軽自動車のてこ入れに本腰を入れている。2012年度の国内販売台数の半分程度を軽にする大胆な目標を掲げる。円高で輸出の採算が悪化するなか、国内で売れ筋の軽の開発・生産・販売の体制を強化、国内生産の空洞化を食い止める狙いもある。

■軽市場シェア上昇、8年ぶり月間首位に

 昨年末の発売から6月までに約10万6千台が売れる大ヒットとなったのがNBOX(エヌボックス)だ。国内新車販売順位で4月から軽の月間首位に。軽市場でホンダが首位に立つのは約8年ぶりだ。

 昨年末まで8%程度だった軽市場でのホンダのシェアも、今年5月は16.6%に上昇。ダイハツ工業、スズキの軽メーカー2強に次ぐ3位に躍り出た。

 6日にホンダが売り出す新型車NBOXプラスは、そのNBOXの派生車だ。広い室内空間が子育て世代を中心に人気を集めた同車だが、さらに荷室にものを詰めやすくした。

 ホンダの今年度の軽の国内販売目標は前年度比2倍以上の35万6千台。国内販売全体の約49%を軽が占める。次の軽の新車は10月にも出る。軽と小型車専門の販売店も大幅に増やす。

 開発体制も大きく見直した。軽をつくる鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)に、栃木県の研究所から技術者や部品調達の担当者ら約100人を移した。生産現場に設計開発部門を近づけて意思決定を速め、新車開発のスピードを高めるのが狙いだ。「鈴鹿を付加価値の高い小型車をつくるモデルにし、世界に広げる」(松本宜之・常務執行役員)狙いもある。

 伊東孝紳社長は先月の株主総会で「埼玉(県狭山市の埼玉製作所)と鈴鹿で50万台ずつ、国内で100万台の生産を守る」と宣言。超円高で輸出採算が悪化し、国内の生産や雇用を守るには売れ筋に注力せざるを得ない面もある。ゆくゆくは鈴鹿を軽専用の工場にし、国内生産の半分を軽にすることも視野に入る。(角田要)

《追記》
☆動画情報 「【動画】ホンダ「N BOX +」は大柄な人でも車中泊ができる構造を採用した」ここをクリック

asahi.com(2012-07-05)