ホンダがタイでHV生産 アジア初、現地化でコスト削減

 ホンダは今夏からタイでハイブリッド車(HV)「フィットハイブリッド」の生産を始める。日本から基幹部品を運び、現地で組み立てる。アジアでHVを生産するのは初めてで、周辺国への輸出も視野に入れている。ホンダは今年4月に北米でHV生産を始めたばかり。現地化により製造コストを抑え、北米やアジアの低燃費車需要を取り込む。

 モーターや電池などの基幹部品を日本から運び、タイ・アユタヤ県の工場で組み立てる「ノックダウン方式」で生産する。排気量は1300ccで、現地では「ジャズハイブリッド」の名称で今夏にも発売する見通しだ。

 フィットハイブリッドはホンダの主力のHVで、2011年に日米欧を中心に約8万6千台を販売した。現在はすべて日本で生産し、輸出しており、海外で生産するのは初めて。アジアでは3月にマレーシアで輸入販売を始めたが、アジアの中核拠点のタイでは現地生産に踏み切る。

 HVの生産は一定の技術力が求められることから、従来は日本だけで生産していた。4月から北米の工場でHV「アキュラILX」の生産を始めたのに続き、アジアでも生産を開始。製造コストを抑え、競争力ある価格で販売する狙い。

 HV市場は日本が先行しているが、アジアでも環境負荷の低い車の需要が徐々に拡大している。ホンダはエンジン性能を高めるとともに簡易で低コストの独自のHVシステムの普及を推進する。11年にマレーシアでHV専用車「インサイト」を4500台超販売し、3月にはタイで同「CR―Z」を発売した。主力HVの投入でアジア市場の開拓に力を入れる。

nikkei.com(2012-05-18)