ホンダ、北米で反攻 高級車モデル1割安

 ホンダは北米での販売巻き返しに向け商品力強化に乗り出す。高級車ブランド「アキュラ」の新モデルの最低価格を、従来の最も安いモデルより1割下回る設定にして若者層を開拓。来年初めにも主力セダン「シビック」を前倒しで改良する。収益源の北米販売は東日本大震災などの影響で落ち込んだが、新車攻勢で顧客層の裾野を広げ、2012年の販売台数を前年比25%増の164万台に引き上げる。

 アキュラは北米を中心に展開する高級車ブランド。月内にも新モデルの小型セダン「ILX」を投入する予定で、排気量2000ccのタイプの販売価格を2万7000ドルにする。直近の為替レートで換算すると220万円強の水準となる。  昨年の北米でのアキュラの販売台数は前年比7.7%減の12万3299台。高級車市場の競争が激化するなか、仕様を抑えるなどして価格帯を引き下げ、若者を中心に新たな需要を開拓する。新モデルで12年に4万台の販売を見込む。アキュラ全体では45%増の18万台に引き上げる計画だ。  ホンダブランドも強化。主力のアコードを今秋に全面刷新し、家庭で充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)とハイブリッド車(HV)を追加する。アコードに次いで販売台数の多いシビックを来年初めにも改良。内装の質感を高め、外観も「デザインの変更に着手した」(開発責任者)。

 昨年4月に発売した現行シビックは一部の米消費者専門誌で厳しい評価を受け、出足が苦戦した。自動車メーカーは主力車種を約5年ごとに全面改良し、その中間時点で小規模な改良を実施することが多い。ホンダは発売から約2年での改良に踏み切り、迅速に市場のニーズに対応する。

 ホンダは昨年、東日本大震災やタイ洪水の影響で、米国など世界各地の工場で減産。北米の販売台数は131万1000台と前年比7%減少した。同社は北米で営業利益の5割(11年3月期)を稼ぎ出していた。  生産正常化に伴い北米販売は急回復し、シビックの今年1〜2月の販売台数は計約4万9000台と前年同期比45%増加。北米の工場は現在、フル生産状態にあり、新車攻勢をかけることで高水準の操業を今後も維持したい考えだ。

nikkei.com(2012-04-04)