ホンダ、タイに新工場 洪水リスク低い南東部検討
2015年にも稼働

 【バンコク=高橋徹】ホンダはタイで四輪車の新工場を建設する方針を固めた。昨年の大規模洪水で被災した中部アユタヤ県の工場が26日、半年ぶりに再稼働したが、能力増強にあたってリスク分散を図るため、洪水発生の可能性が低い南東部地域を軸に検討している。年産能力は12万台規模を想定、2015年にも稼働させたい考えだ。

 すでに立地選定を進めており、4月中にも用地を取得する。小型セダン「シティ」や新興国専用車「ブリオ」など乗用車を生産するアユタヤ工場(年産能力24万台)は操業を継続。新工場ではタイで今後需要が増えるとみられる多人数乗りのミニバンなどが生産車種の候補に挙がっている。

 ホンダはインドネシアでも新工場を建設、14年に年産能力を3倍の18万台に増強する計画。タイは洪水被害の再発不安はあるものの、素材・部品の裾野産業の集積やインフラの充実ぶりは群を抜く。トヨタ自動車やいすゞ自動車など日本車他社も増産対応を進めており、ホンダもリスク分散と両にらみで一段の能力増強を目指す。

 アユタヤ県のロジャナ工業団地内にある既存工場は、洪水のため昨年10月4日から操業を停止。一時は2メートル以上の高さまで浸水したが、生産設備の大半を入れ替えて、26日に生産再開にこぎ着けた。

 被災に伴う減産規模はタイ国内で約12万台。世界への部品供給拠点ともなっており、日本や北米など域外も含めた全世界では26万台の生産に影響が出た。12年3月期連結決算では約1100億円の営業減益要因となる見込みだ。

nikkei.com(2012-03-26)